2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23700004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森山 園子 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (20361537)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 線形計画問題 / LPグラフ / 有向マトロイド / 多面体理論 / 組合せ論 |
Research Abstract |
線形計画問題(LP)のピボットアルゴリズムの振る舞いを記述したグラフをLPグラフという。ピボット規則の振る舞いに関する殆どの研究において,特徴付けが与えられていないLPグラフ上ではなくAUSO上で解析されてきたが,AUSOの集合はLPグラフの集合より十分大きいため,本来はLPグラフ上で解析が行われるべきである。そこで,本年度はLPグラフと超平面配置との対応から有向マトロイド理論を通じてLPグラフの列挙法を構築することを目指し,以下4つの方向性で研究を進めた。 第1に,一連の履歴依存型ピボット規則のAUSO上での振る舞いを解析し,[Aoshima, Avis, Deering, Matsumoto, Moriyama (2011)]で発表した。本論文では,計算時間を要する代表的な振る舞いとして,AUSO上でのハミルトニアンパスを中心に解析した。第2に,有向マトロイド理論を通じてLPグラフの列挙法を構築するにあたり,有向マトロイドの疎構造であるマトロイドの効率良い列挙法を構築し,その列挙結果を用いて計算幾何の未解決問題を部分的に解決した。本結果について論文[Matsumoto, Moriyama, Imai, Bremner (2011)]にまとめ公表した。第3に,LPグラフの性質の1つであるシェリング性[Avis, Moriyama(2009)]を解明すべく,組合せ論の基本的性質であるシェリングに立ち戻り,同性質を判定する効率良いアルゴリズムを構築した。本結果を[Moriyama(2011)]にまとめ公表した。第4に,LPグラフと超平面配置の対応という幾何学的視点の重要性から,他の幾何学的視点を模索すべく,計算幾何の古典的な問題に取り組み,論文[Tanuma, Imai, Moriyama (2011)]で公表したほか,[森山園子(2011)]で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,線形計画問題(LP)のピボットアルゴリズムの振る舞いを記述したLPグラフと超平面配置との対応から,有向マトロイド理論を通じてLPグラフの列挙法を構築することを目指して研究を進めた。LPグラフを列挙するうえで,実現可能な有向マトロイドを大きなサイズまで列挙することが重要となる。従来の手法では,実現可能なものと実現不可能なものの両方を含む既存の有向マトロイドデータベースから,実現可能性を判定することで実現可能なものを列挙していた。しかし,この手法で列挙できる実現可能な有向マトロイドのサイズは,データベースに依存する。 そこで,データベースに頼らずに,実現可能な有向マトロイドを直接列挙する方法を考案することで,大きなサイズの実現可能有向マトロイドの列挙を可能にすることが本年度の大きな目標であった。問題解決の足がかりとして,有向マトロイドの疎構造であるマトロイドについて,従来の手法では列挙が難しい大きなサイズのものまで効率よく列挙する手法を考案した。今後は,この列挙手法を土台にして,実現可能な有向マトロイドの列挙法を構築する。また,実現可能な有向マトロイドを列挙するうえで,線形性および幾何構造の理解を深めるため,LPグラフの線形性を記述するシェリング性[Avis, Moriyama (2009)]の判定問題に取り組むとともに,LPグラフと超平面配置の対応といった幾何学的視点を模索すべく計算幾何の古典的な問題に取り組んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,本年度の研究結果を土台にして,一連の履歴依存型ピボット規則のLPグラフ上での振る舞いの解析という本研究課題の目標に向かって研究を進める。 まず,本年度に構築したマトロイドの列挙法を土台として,これまで積み重ねてきた有向マトロイド理論に関する知見を駆使して,実現可能な有向マトロイドの列挙法を考案し,LPグラフを列挙する。LPグラフ列挙法を実装するにあたり,列挙法の特殊性から従来のデータ構造とは異なるデータ構造を開発のうえ,高速かつ大規模な列挙を行うソフトウエアを作成する。ソフトウエアおよびLPグラフの列挙結果は共に公開し,研究者間での幅広い普及を目指す。 次に,LPグラフ上で一連の履歴依存型のピボット規則の計算解析を行い,ピボット規則の適用回数が指数オーダーとなる例が大量に生成される場合とそうでない場合を調査して,以下2つの方針で研究を進める。適用回数が指数オーダーとなる例が大量に生成された場合は,ピボット履歴を解析することで,これらの例の次元に関する無限族を生成することを目指す。それ以外の場合は,Holt-Klee性[Holt, Klee (1998)]とシェリング性[Avis, Moriyama (2009)]等のグラフの線形性を記述した性質を用いて,多項式時間であることの証明を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度と同様に,調査研究を広く実施するとともに,国内外を問わず積極的に成果発表を行うため,旅費の使用を予定する。外国旅費は,福田公明教授(スイス連邦工科大学,スイス),Antoine Deza教授(McMaster大学,カナダ)をはじめ,申請者がこれまで共同研究を行ってきた数々の海外研究者との交流を通じて情報収集を行うため申請する。充実した議論を遂行するため,各年度で十分な議論を可能にする渡航のための旅費とする。また,従来どおり,国内研究者との共同研究や国内会議への参加を検討しているため,その出張が可能となる国内旅費を予定する。 消耗品は,各年度で必要となるバックアップ費・プリンタ用品であるので,次年度も同額の使用を予定する。更に,消耗品同様に各年度で必要となる,外国論文投稿の際に必要となる論文校閲費,主に国内雑誌投稿の際に必要となる論文投稿料,会議参加の折に必要となる会議費について,各年度で同額を申請する。
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Research Products
(4 results)