2011 Fiscal Year Research-status Report
広域環境上における分散制御型マルチサイト仮想クラスタに関する研究
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23700058
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
市川 昊平 大阪大学, 情報基盤本部, 助教 (90511676)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 仮想クラスタ / 広域計算環境 / クラウドコンピューティング / オーバレイネットワーク / OpenFlow / 国際情報交流 / アメリカ |
Research Abstract |
本申請研究は,複数サイトの計算資源からなる仮想的なクラスタ環境(マルチサイト仮想クラスタ)の柔軟かつスケーラブルな構築手法の確立を目的とし,従来の中央集中管理型のクラスタ構成をとらない分散制御型の仮想クラスタ構築・管理機構を実現することを目指して実施している.初年度にあたる当該年度は,複数サイトの計算資源に対し,仮想的に均質なネットワークであるオーバレイネットワークを提供する技術開発に従事した.本申請研究は,申請時には,オーバレイネットワークを提供する仕組みとして, P2P技術をベースにしたものを想定していた.しかし,当該年度は,近年のネットワーク仮想化技術の動向に合わせ,OpenFlowと呼ばれる新しいネットワーク技術を基にしたオーバレイネットワーク構築手法を取り入れた仕組みの研究開発も行った.当該年度では,OpenFlowによって作成された仮想ネットワークを用いた仮想クラスタ構築実験を,グリッド・クラウドに関する国際的な研究コミュニティPRAGMA(Pacific Rim Applications and Grid Middleware Assembly)により運営される広域分散計算の実験環境(PRAGMA テストベッド)において実施するまで行った.当初の研究計画では,PRAGMA テストベッドにおける実証実験は次年度に実施する予定であったが,新技術であるOpenFlowによって異なる拠点間を結ぶ実験をいち早く実施することの意義を重要視し,当該年度に行った.実際には,OpenFlowを用いた異なる拠点間を結ぶ実験は既に何件か報告されている.しかし,本申請研究において行われたように,全く管理組織体制の異なる組織を結んで実施した例は数少なく,今後,OpenFlowを本申請研究に適用していく上での重要な知見・ノウハウが本実証研究により得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本申請研究では,研究開発の成果物である分散制御型の広域仮想クラスタ構築技術を,国際的な研究コミュニティにより運営される広域分散計算の実験環境(PRAGMA テストベッド)にて実証実験することまでを目的とし,1)オーバレイネットワークの構築,2)クラスタの分散管理機能の構築,3)分散制御型ジョブ管理機能の構築,4)実証実験の実施という4つのマイルストーンを設定して進めている.当該年度においては,研究計画通り,1)のオーバレイネットワークの構築を実施し,引き続いて2)のクラスタの分散管理機能の構築に入っている.また,本研究申請時には,実際の実証実験の実施は次年度後半から実施する予定であったが,当該年度においては仮想ネットワークに関する一部の成果に関して実証実験を前倒しして実施した.したがって,研究計画上は当初の計画以上に進んでいると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度では,当初の研究計画にはない新しいネットワーク技術であるOpenFlowを適用した手法を取り入れた技術開発を行った.今後の研究では,当初の研究計画におけるP2Pをベースとした仮想ネットワーク構築技術,今回新たに加えたOpenFlowによる構築技術を比較検討し,本申請研究が目的としている分散制御型の広域仮想クラスタ構築にとって最適な手法の研究開発を目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本申請研究では,当初,大学院学生をアルバイトとして雇い入れ,研究開発の補助として従事させる予定であった.しかし,当該年度においては,大学院学生1名の修士課程における研究テーマと本申請研究の一部の研究内容を一致させることができ,業務として依頼することはなく教育研究の一環として申請者が指導しながら進めるという体制を構築できたため,人件費を使用する必要がなくなった.ただし,この人件費分は当該大学院学生の研究環境の構築・充実や,情報収集のための国際会議参加費へと割り当てたため余剰として計上されていない.次年度では引き続き当該学生を指導しながら研究開発にあたる予定であるため,当初計画の人件費分は執行せずに,該当学生の研究環境の充実・旅費に当てる予定である.一方で,当初,例年3月中旬に開催される国際会議への参加を予定していたが,開催時期が次年度の4月となったため,旅費に関して一部余剰が出来た.この余剰分に関しては次年度に開催時期が変更となった国際会議の参加費として利用する計画である.次年度では,成果報告として国内2件,前述の延期された国際会議と合わせて国外2件を計画する.さらに,海外研究者との連携のための打ち合わせとして1件行う予定であり,これらの旅費として研究費を利用する.さらに,当該年度に一部前倒しして実施した実証実験に関して,次年度はより本格的な実験を行う必要があり,そのための大学内部の実験環境構築のため動作検証用サーバ3 台及びその拡張メモリ、ネットワーク関連消耗品に研究費を使用する計画である.
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Research Products
(3 results)