2011 Fiscal Year Research-status Report
ウェブから時空間依存データを抽出するウェブセンサに関する研究
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23700129
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
服部 峻 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40555223)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ウェブマイニング / データマイニング / ウェブセンサ / スマート空間 / セキュア空間 / テキストマイニング / 画像解析 / 画像検索 |
Research Abstract |
実世界でサービス配置や構造を最適化し、スマート空間を実現するには、実世界の状況をリアルタイムに監視し適応させる必要があるが、従来の物理的なリアルセンサだけでは、ある場所ある期間に起きた様々な現象に関して、その現象を人々がどう認識しているか、評判や印象などをセンスすることは困難である。本年度は、様々な現象を人々が体験した上で記述されたウェブ文書から自動的に時空間依存データを抽出するウェブセンサの基礎的技術(プロトタイプシステム)を開発した。また、ウェブセンサデータの信頼性を保証して、一般ユーザも安心して参考にでき、スマート空間を始め多くの情報システムで活用可能にするため、リアルセンサによって収集されたデータとして気象統計や地震統計などとの相関を幅広く照合・分析した。ウェブ世界でどのくらい(量的)、どのように(質的)記述されているのか、現象の種類に依ってウェブでの記述され易さ、タイムラグに違いがあるのか、その現象が起きた時空間に依っても異なるのかなどについて調査した。次年度に実施を計画していたが、ウェブセンサシステムの拡充、ウェブセンサデータの活用方法の検討も行った。ウェブ世界にはテキストデータだけではなく、有用な画像データも豊富に存在する。実世界のオブジェクトの典型画像や特異画像をウェブセンスする技術を開発した。また、スマート空間の情報セキュリティを改善したセキュア空間においてウェブセンサの活用方法についても提案した。初年度の研究成果として、ウェブセンサに関する基礎的調査の結果と得られた知見、ウェブセンサの応用などについて学術論文誌や国際会議等で発表した。実世界での現象として「天候」や「地震」に関して取り上げ、ウェブセンサによってウェブから抽出した時空間依存データがリアルセンサデータをどの程度再現できるか、その可能性を示唆することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、様々な現象を人々が体験した上で記述されたウェブ文書から自動的に時空間依存データを高精度に抽出するウェブセンサ技術を開発し、スマート空間の実現などにおけるリアルセンサを補完・代替することであるが、当初の計画通り、ウェブセンサの基礎的技術(プロトタイプシステム)を開発することができた。また、ウェブセンサデータの利用可能性や信頼性を担保するため、当初の計画通り、気象統計や地震統計などとの相関を幅広く照合・分析し、ウェブセンサによってウェブから抽出した時空間依存データがリアルセンサデータをどの程度再現できるか、その可能性を示唆することができた。さらに、次年度に実施を計画していたが、ウェブセンサシステムの機能拡充として実世界の現象のテキストデータだけでなく実世界のオブジェクトの典型画像や特異画像をウェブセンスする技術、及び、スマート空間の情報セキュリティを改善したセキュア空間においてウェブセンサを活用する方法についても開発することができた。従って、本研究は現在までの所、概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度開発したウェブセンサの基礎的技術(プロトタイプシステム)を拡充および改善し、様々な現象を人々が体験した上で記述されたウェブ文書から自動的に時空間依存データをより高精度に抽出するウェブセンサシステムを開発する。ウェブからの知識抽出に関する最新の抽出手法にも対応するため、関連論文のサーベイを十分に行い、関連する学術会議にも参加して情報を収集し、抽出手法(アルゴリズム)のバリエーションを拡充して行く。実世界の現象やオブジェクトに関するテキストデータだけでなく画像データをウェブセンスする技術の改善も行う。学術会議等でデモ発表を行えるように、ウェブ抽出システムの高速化、モバイル化、リモートアクセス化も試みる。また、本年度使用した気象統計や地震統計だけでなく、出来る限り多くの現象についてリアルセンサによる時空間依存データを拡充し、ウェブ抽出した時空依存データとリアルセンサデータとの相関に関して現象の種類への依存性、従来のウェブ文書、ブログ、マイクロブログ(twitterなど)、Wikipedia、ニュース記事など、情報ソースの種類によって、抽出された時空間依存データと実世界との対応関係に違いがあるのかなど、様々な側面からウェブの実世界センサとしての可能性や信頼性の詳細な調査を進める。さらに、ウェブセンサデータの活用方法として、相関(信頼性)の高い現象に関する時空間依存データはどのようにユーザに呈示すればより良いか、相関(信頼性)の低い現象に関する時空間依存データはどのようにユーザに呈示すれば誤解の問題などを軽減できるかなども検討する。実世界センサとしてウェブから抽出された知識データ(潜在的なニーズなど)に応じて、リアルタイムに実世界に反映し、実世界(スマート空間)でのサービス配置や構造を自動的に変えていくような仕組みの研究にも取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ウェブから時空間依存データを抽出するウェブセンサシステムの高速化、モバイル化、リモートアクセス化を実現するため、高性能サーバ、モバイル端末、タブレット端末を購入することを計画している。また、一般に公開されている統計情報だけでは実世界での現象を十分には網羅できないので、不足する種類の現象については、本調査での利用に限定した上での情報公開を求めたり、独自にアンケート調査を行ったりする必要があるため、次年度の研究費をその費用(謝金等)にも充てることを計画している。その他、データマイニングやウェブマイニングに関する書籍、モバイルアプリケーション開発やタブレットアプリケーション開発に関する書籍、ウェブセンサに関する研究成果を発表するための論文誌掲載費や国際会議等の旅費に使用する計画である。
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Research Products
(9 results)