2013 Fiscal Year Annual Research Report
1ビット個別駆動パラメトリックスピーカを用いたアコースティックプロジェクタ
Project/Area Number |
23700151
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Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
武岡 成人 静岡理工科大学, 理工学部, 講師 (30514468)
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Keywords | パラメトリックスピーカ / 超多チャンネル信号処理 / 音響立体再生 |
Research Abstract |
姿勢や個人差によらない3次元音場の再生手法の確立は音によるコミュニケーションにおいて重要である。本研究は超指向性スピーカとして利用されているパラメトリックスピーカにアレイ信号処理による指向性制御を導入し,それら出力を壁面に反射させ受聴するシステムの構築を目的としている。本研究期間において以下の検討を行った。 ・アレイ素子の駆動間隔に起因するグレーティングローブやサイドローブは本手法では受聴者にとって虚像となってしまう。そこで,本実験の対象となる水平方向へのグレーティングローブを抑圧した素子配置の指向性制御型パラメトリックスピーカを検討・試作し実測により有意性を確認した。また,原理的にサイドローブが発生しない2項係数分布駆動の本手法への導入を提案し,マルチビーム出力時にスピーカ効率を落とさずにサイドローブを抑圧する条件を確認した。 ・円弧状の壁面を作成し,中心点に設置した試作スピーカの出力に対する反射波の測定実験を行った。スピーカ出力方向を水平方向に制御し,受聴点付近での音圧分布を測定することにより所望の方向からの到来音が得られていることを確認した。また,壁面に楕円形状を導入することにより垂直方向への制御も可能となる構成を提案し,壁面の設計をおこなうとともにマルチビーム出力による波面合成手法の基礎検討を行った。 ・提案手法は指向性が故に受聴点への正確な放射が求められる。そこでパラメトリックスピーカにカメラを設置し,画像処理と併用することによりスピーカと対象点の相対角度を確定させるシステムを構築しその有用性を確認した。 これら成果により,設置する音源が一か所でありながら受聴点において任意の方向から,かつ同時に複数の個別の音を到来させることができる音場再生システムを構築することができた。本手法は周囲の環境や空間の広さにも頑強であり,バリアフリーシステムなどへの応用も大いに期待できる。
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