2011 Fiscal Year Research-status Report
等式制約付き多峰性関数最適化のための進化計算手法を用いた遺伝子ネットワーク同定
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23700266
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
木村 周平 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20342777)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 進化的アルゴリズム / 制約付き関数最適化 / 遺伝子ネットワーク |
Research Abstract |
等式制約を実質的に一つだけ持つような関数最適化問題に対して,効率的に解候補を探索するための方法を提案した.具体的には進化的アルゴリズムを用いて制約付き関数最適化問題を解く際に,制約条件を充足する領域のみに解候補を生成するための手法の開発を行った.そのために提案手法は,進化的アルゴリズムの交叉オペレータによって生成される子個体に関する確率密度分布(交叉カーネル),及びマルコフ連鎖モンテカルロ法を利用した.数値実験により提案手法が制約条件を持つ多峰性関数最適化において,良好な探索性能を持つことを示した.本研究の成果は進化計算に関する国際会議の論文(Proceedings of IEEE Congress on Evolutionary Computation 2011, pp.447-454)の形で発表した.他方,遺伝子ネットワーク同定の精度向上のため,従来手法である線形計画法を利用した方法を応用することで,さらに詳細な遺伝子ネットワークのS-systemモデルを同定するための方法を開発した.具体的には線形計画法を利用した遺伝子ネットワーク同定法によって推定されたパラメータを利用することで,一次元関数最適化問題を解くだけでS-systemモデルのパラメータを効率的に推定するものである.この方法により,非常に短時間で比較的高精度な遺伝子ネットワークのS-systemモデルの同定が可能になった.この研究に関しては国内会議(平成23年電気学会電子・情報・システム部門大会)で発表し,また学術誌論文(Mathematical Biosciences, Vol.235, pp.161-170)として発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではまずはじめに等式制約を持つ関数最適化問題のための進化的アルゴリズムの開発を行う予定であった.このアルゴリズムの開発がほぼ当初の予定通りに進んでいるため,本研究は予定通りに進んでいるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に開発した制約付き関数最適化問題を解くための進化的アルゴリズムは,等式制約が一つだけであるような問題のみを対象としていた.平成24年度以降はこの方法の対象とする問題を,複数の等式制約を持つ問題へ拡張する予定である.具体的には交叉オペレータによって生成される子個体に関する確率密度分布の改良,及び等式制約逸脱解の修正アルゴリズムの改良を行う予定である.他方,開発した制約付き関数最適化問題に対する進化的アルゴリズムを用いて,従来手法よりも精度の高い遺伝子ネットワーク同定法を開発する予定である.具体的には線形計画法を利用した遺伝子ネットワーク同定法に対して,ネットワークに関する事前知識を導入する方法を開発する予定である.さらに改良した線形計画法を利用した遺伝子ネットワーク同定法と,平成23年度に開発した遺伝子ネットワークのS-systemモデル同定法を組み合わせることで,従来よりも性能の良い遺伝子ネットワークのS-systemモデル同定法の開発を目指す.開発した遺伝子ネットワーク同定器は,実データの解析を通してその性能を検証する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究で開発する制約付き関数最適化のための進化的アルゴリズム,及びそれを用いた遺伝子ネットワーク同定法の計算コストは大きくなることが予想される.そこで平成24年度に,これらの計算を行うための専用計算機を購入する予定である.本来,本計算機は平成23年度に購入する予定であったが,購入に充分な予算が確保できなかったため,平成24年度の研究費と合わせて購入する予定である.それ以外の研究費は,主に国内外での学会発表のための出張旅費,論文投稿料,及び英文校閲料に使用する予定である.
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