2011 Fiscal Year Research-status Report
アデノシン受容体による代謝型グルタミン酸受容体の機能調節と運動学習の制御
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23700390
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
上窪 裕二 順天堂大学, 医学部, 助教 (80509670)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | Gタンパク質共役型受容体 / シナプス可塑性 / アデノシン受容体 / 代謝型グルタミン酸受容体 / 小脳 / ライブセル・イメージング / 運動学習 / 長期抑圧 |
Research Abstract |
シナプス伝達効率が持続的に変化するシナプス可塑性は記憶・学習の細胞レベルでの基礎過程であると考えられ,研究が盛んにすすめられている。小脳皮質の平行線維-プルキンエ細胞間のシナプス伝達が持続的に低下する長期抑圧(小脳LTD)は小脳依存的な運動学習に関わると考えられている。我々は小脳LTDの誘導に関わる代謝型グルタミン酸受容体(mGluR1)が異種のGタンパク質共役型受容体(GPCR) と相互作用し,シナプス可塑性が調節されている可能性に注目し研究を進めてきた。これまでにアデノシンA1受容体(A1R)の活性化がmGluR1のシグナル伝達を調節し,小脳LTDの誘導効率を変化させることが分かった。本研究では,ライブセル・イメージングと電気生理学的,生化学的解析によってA1RとmGluR1の相互作用の分子メカニズムと生理作用の解明を目指し以下の実験を行った。1 免疫沈降法のよる相互作用部位の特定。2 蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)イメージング法によるA1RとmGluR1相互作用の解析。3 全反射蛍光(TIRF)顕微鏡イメージングによるA1RとmGluR1複合体の動態観察。以上の実験結果より,mGluR1とA1Rは細胞膜のごく近傍で複合体形成し,相互作用することが分かった。また、mGluR1とA1Rの相互作用について重要な役割を果たす部位が判明した。今後,mGluR1とA1Rの相互作用と小脳依存的運動学習の関係について解析をすすめることで,記憶・学習などの脳の高次機能について分子レベルで理解する事につながると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Gタンパク質共役型受容体同士の相互作用についてのイメージングおよび生化学的解析は、実験計画当初の通りすすんでおり、学会等で研究成果を発表している。分子メカニズムについては更なる詳細な検討が必要であるので、今年度の研究を継続し実施する。また、共同研究によって平成24年度に実施を計画している小脳依存的運動学習を評価する系の確立もすすんでおり,GPCR相互作用と運動学習の解析は十分実施可能な状況である。以上の結果より、交付申請書に記載した研究の目的の達成は「おむね順調に進展している」と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の実験計画に従い、GPCRシグナル・クロストークの生理学的、行動学的な研究を実施する。また,GPCRへテロ複合体形成の分子メカニズムについては更なる詳細な検討を必要としているので,今後も継続して実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
生理学的、行動学的解析に必要な実験動物(ラットおよびマウス)、試薬類を購入する。電気生理学的に詳細な解析を行うため、解析装置を購入する。また、学術雑誌への投稿費および国内外の学会での研究成果発表を行うための出張費として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)