2012 Fiscal Year Annual Research Report
アデノシン受容体による代謝型グルタミン酸受容体の機能調節と運動学習の制御
Project/Area Number |
23700390
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
上窪 裕二 順天堂大学, 医学部, 助教 (80509670)
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Keywords | Gタンパク質共役型受容体 / 小脳長期抑圧 / 代謝型グルタミン酸受容体 / アデノシン受容体 / FRET / 運動学習 |
Research Abstract |
記憶・学習は気分,覚醒,興味など様々な心理的要因によって変化する。記憶・学習の細胞レベルの基礎過程としてシナプス伝達効率の変化(シナプス可塑性)が盛んに研究され,分子メカニズムの解明が進んでいる。しかしながら,シナプス可塑性がどの様な心理的機序で制御されているかについては未解明の点が多い。本課題では、小脳依存的な運動学習の基礎過程であるシナプス可塑性:小脳長期抑圧が制御されるメカニズムに注目し検討を行った。GPCR同士が機能的に相互作用することから、我々は小脳長期抑圧の誘導に関わる代謝型のグルタミン酸受容体(mGluR1)と他のGタンパク質共役型受容体(GPCR)の相互作用に着目した。本課題を実施結果から、以下の点が明らかになった。 (1)免疫沈降法および蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)法によって、mGluR1とアデノシンA1受容体(A1R)が相互作用する事を明らかにした。(2)A1Rの特定の部位の構造とアミノ酸配列がmGluR1との相互作用に重要である事を示した。(3)蛍光ラベル抗体を用いたFRETにより小脳においてもmGluR1とA1Rが相互作用している事を示した。(4) A1Rの活性化がmGluR1のシグナル伝達を抑制し、小脳長期抑圧の誘導を抑制する。 以上より,mGluR1とA1Rは細胞膜近傍で複合体形成し,相互作用することで小脳の長期抑圧を制御していることが明らかになった。現在は、mGluR1とA1Rの相互作用を操作する方法を検討中であり、可能となった場合には小脳依存的運動学習制御メカニズムの解明や、小脳の障害による運動失調の治療方法の確立などにつながる。さらに他のGPCR同士の相互作用についても明らかにし、現在も研究を進めている。近年GPCRの立体構造の解明が進んでおり、GPCR相互作用の分子機構と生理的な意義について更なる発展が期待できるものである。
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[Journal Article] Laminin α1 is essential for mouse cerebellar development2012
Author(s)
Ichikawa-Tomikawa N, Ogawa J, Douet V, Xu1 Z, Kamikubo Y, Sakurai T, Kohsaka S, Chiba H, Hattori N, Yamada Y, and Arikawa-Hirasawa E.
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Journal Title
Matrix Biology
Volume: 1
Pages: 17-28
DOI
Peer Reviewed
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