2013 Fiscal Year Annual Research Report
筋衛星細胞自己複製機構の解明およびRNA干渉による筋衛星細胞自己複製促進法の開発
Project/Area Number |
23700484
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長田 洋輔 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (50401211)
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Keywords | 骨格筋 / 骨格筋再生 / 筋衛星細胞 / 自己複製 / Grb2 / Ras / siRNA |
Research Abstract |
骨格筋の修復や再生は骨格筋幹細胞である筋衛星細胞によって行われる.筋衛星細胞は厳密な制御機構によってその数が維持されていると考えられているが,その分子機構は不明である. 本研究ではマウス筋衛星細胞由来の細胞株C2C12の培養によって生じるリザーブ細胞を休眠状態の筋衛星細胞のモデルとして使用し,リザーブ細胞形成に関与する因子を探索した.そしてアダプタータンパク質Grb2をノックダウンするとリザーブ細胞形成が顕著に抑制されること,リザーブ細胞数は野生型Grb2の過剰発現により増加し,ドミナントネガティブ型Grb2の過剰発現によって減少することを明らかにした.Grb2はグアニンヌクレオチド交換因子Sos1との相互作用によって情報伝達に関与することからSos1のノックダウンを行ったところ,Grb2のノックダウンと同様にリザーブ細胞数の減少が見られた.その一方で,恒常的活性型Sos1であるcSos/CAAXを過剰発現した場合には未分化な細胞の増殖が強く誘導されたものの,この細胞はリザーブ細胞ではなく増殖中の筋芽細胞と同様の性質を持つものと考えられた.Sos1の下流で機能する低分子量Gタンパク質Rasの過剰発現を試みたところ,恒常的活性型H-Rasおよび恒常的活性型N-RasはcSos/CAAXと同様に筋芽細胞の増殖を促進した.以上の結果はGrb2-Sos1-Rasはリザーブ細胞形成に必須であるが,過剰なシグナルはリザーブ細胞形成に対して抑制的に働くことを示唆している.今後,人工的に外来遺伝子の発現量を調整することや,ノックダウンのタイミングを詳細に検討することによって,リザーブ細胞形成そして筋衛星細胞の自己複製を促進する培養条件が確立できると考えている.
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Research Products
(3 results)