2011 Fiscal Year Research-status Report
血管内皮誘導を狙った金属性マイクロポーラス表面修飾法の開発
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23700538
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
関根 一光 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (50447182)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 国際情報交流 / 人工臓器 / 血液接触表面 / 多孔体 |
Research Abstract |
自己的な血管内皮の誘導形成を目的として、金属微粒子の焼結体による微細多孔質(マイクロポーラス)表面を、人工心臓用金属製脱血管や血液カニューレの先端周囲や血管との接合部位、および血液の澱みが想定される部位など、材料の特定表面に修飾する技術を目的とする、チタンマイクロ粒子の焼結体による周囲組織誘導型のチタン多孔体試料の作成をおこなった。チタンマイクロ粒子を溶融した熱可塑性樹脂と適切な混合比にて練和し、それを鋳型に入れて冷却する。これらを約1000℃環境にて適当な時間で焼成することにより、熱可塑性樹脂が焼却され、チタンマイクロ粒子が粒子ネッキングした多孔体が作成できる。これらについて、板状試料および円筒試料の作成をおこなった。試料はガス式密度計による空孔体積の算出、繊維芽細胞播種によるin vitro性状評価、雄性ラット皮下および筋層への埋入試験と摘出後の組織切片剖検によるin vivo評価をおこなった。 空孔体積については、チタンマイクロ粒子サイズと熱可塑性樹脂の混合比による目標値に対し、作成した試料についてほぼ同等の空孔体積値を確認した。また、顕微鏡観察による空孔サイズについても実測平均値はほぼ目標値であり、今後の空孔サイズや空孔体積の調整に対する制御にも対応できると考えられる。繊維芽細胞播種による評価では、細胞の試料表面への接着と孔内への充分な侵入を電子顕微鏡像より確認できたため、今後の血管内皮細胞等での評価への指針ともなった。また、ラットへの埋入試件により、孔内への脂肪層組織および結合組織を確認出来たが、毛細血管の侵入までは確認できなかったため、今後の試料作成基準の変更の必要性があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試料作成において、チタン多孔体の理論的な孔率や孔径を算出後に、それらに基づいた試料作成をおこなったが、作成した試料は理論計算値とほぼ合致しており、今後の孔率や孔径の修正等においても柔軟に対応できる。 生物学的評価においては、繊維芽細胞や結合組織における事前評価として十分な結果を得られており、今後の評価方法についての基礎データを得ることが出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度において、血液接触表面としての可能性とチタン多孔体形状の任意の調整が幅広く可能であることがわかった。そのため、これまで結合材としている熱可塑性樹脂に替わって練和カルシウムペーストを代用し、焼成時の試料汚染の減少と表面性状に対する複合的効果を狙った研究についても進める予定である。 また、チタン表面の表面改質についても、アクティブな親水化等の新たな検討も模索しながら、血液接触表面基材としての評価を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度予算計画において計上した高額備品について、年度内は所属部局所有の機器で代用することが可能であることが判ったため、購入を見送ることとした。 また、その繰越金と平成24年度研究費により、これまでの研究過程において必要である、と判断した備品の購入をおこなう予定である。 そのため、一部消耗品費および人件費、旅費、謝金について予算計画上においてそれぞれ減額調整をおこない、それに準じた予算計画で遂行する予定である。
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