2012 Fiscal Year Annual Research Report
心不全における脳自律神経異常のシステム同定とバイオニック心不全治療の探索
Project/Area Number |
23700550
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Research Institution | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
Principal Investigator |
佐田 悠輔 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 流動研究員 (70570258)
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Keywords | 自律神経治療 / 心不全 / 高血圧 / 腎臓交感神経 / システム生理 |
Research Abstract |
本研究は、心不全病型に応じた自律神経調節機構の異常を、システム工学的視点より明らかにすることである。さらに、心不全β遮断薬で治療し得ない心不全脳特性の異常を自律神経介入治療により是正できるかを検討するものである。 本研究の遂行にあたり、心筋梗塞心不全モデル、高血圧性心肥大モデル、心腎連関モデルラットの作成し、それぞれの自律神経制御機構(脳特性および末梢特性)をシステム生理実験により解析した。血圧制御の要である動脈圧反射系を脳特性(血圧-脳-交感神経活動)と末梢特性(交感神経活動-末梢器官群-血圧)に分け、それぞれを個別にシステム同定する実験を行った。 高血圧性心不全モデルでは、脳特性の異常(血圧に対する交感神経応答の亢進)が認められたものの、末梢特性(交感神経活動に対する昇圧反応)は正常であった。一方、心筋梗塞性心不全モデルおよび心腎連関モデルでは、脳特性および末梢特性双方の異常(血圧に対する交感神経応答の減弱、交感神経活動に対する昇圧反応の減弱)が認められた。 次に、自律神経中枢への介入治療として、近年開発され世界中で注目されている腎臓交感神経の除神経治療を行った。自然発症高血圧モデルに腎臓交感神経除神経を施したところ、脳特性においては入力圧に対する交感神経活動低下の反応性は鈍化し、末梢特性においては有意な変化は認められなかった。正常血圧対照ラット(WKY)と比較すると、脳特性の完全な正常化には至らなかった。
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