2011 Fiscal Year Research-status Report
口周辺の機能を利用した二次元同時アナログ入力インターフェースの提案と評価
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23700666
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池田 毅 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50448403)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ヒューマンインターフェース / 電動車いす / コントローラ |
Research Abstract |
病気や事故などによって手足にハンディキャップを負った重度四肢障害者の自立支援機器として,電動車いすなどがある.これらを操作する方法として残存運動機能の一つである口とその周辺の運動機能を信号として利用する方法を提案した.ここで用いる運動機能から取り出す信号は以下のものである.唇を閉じる力を圧力に変換し,その圧力変動を電気信号として使用する口唇圧.歯を噛み合わせる力を力センサで電気信号に変換する咬合力,さらに,口の中に溜めた空気の圧力変動を圧力センサで信号に変える口腔内圧(正圧,負圧)である.本年度はこれらの信号を用いて電動車いすを操作するコントローラを構築し,その操作性の評価に取り組んだ.まず,コントローラとして使用するために各信号の使用しやすい力や圧力の範囲について調べた.目標値を変えながらステップ応答をとり,口唇圧と咬合力についてはオーバーシュート率が10パーセント以内に収まった範囲を,使用する信号レンジとした.口腔内圧については目標値に対して応答に大きな変化がなかったために計測可能な範囲を使用レンジとした.次に,二次元平面上に最大速度の円を描きその円の中にインターフェースからの入力信号に基づいて点をプロットし,電動車いすの目標走行速度とするコントローラを構築した.ここでは前後進,左右旋回の指令と各入力信号との割り当てについて注目し,走行シミュレータにより走行条件を統一した状況で操作性について評価を行った.評価には総走行距離に対する評価と目標軌道に対する実際の走行の誤差を面積で表したものによる評価を行った.この結果,前進に口唇圧,後進に咬合力,左右旋回の命令に口腔内圧を割り当てた場合が電動車いすのコントローラとしての制御性能が優れているという結果を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本機能の調査および電動車いすの操作用コントローラとしての提案を目標として研究を行った.生体信号を入力信号とするため,使用しやすい領域と使用しにくい領域が存在する.その領域を明確にし,使いやすい領域をコントロールに使用するレンジとして電動車いすの操作用コントローラを構築した.また,電動車いすの操作用コントローラの構築にあたって最大速度の円を二次元平面に描き,その円に内接する正方形領域にインターフェースからの信号をプロットすることで前進,後進,左右旋回が指令通りにモータへ出力できるようにした.構築したコントローラについて車いす操縦シミュレータを用いて操作性について評価試験を行った.以上より,概ね計画通りの進捗状況である.ただし,提案したコントローラによる操作性の評価試験は被験者が一人だけであったため,複数の被験者による操作性の評価は次年度への課題である.
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Strategy for Future Research Activity |
使いやすさの観点から生体信号として取り出す圧力や力の使用範囲の限定および二次元空間へプロットすることで速度指令型の電動車いすの操作用コントローラの提案を行った.また,操作性の評価を行い,入力信号と電動車いすの動作の割り当ての検討を行った.まず,最初の課題としては,被験者を増やすことによって,口部入力インターフェースを用いたコントローラの定量的な評価を行っていくことである.小型ロボットアームのコントローラの提案を次の課題とする.電動車いすのコントローラでは三つの運動機能より四つの信号を取り出すことによって独立した二次元の指示領域を実現した.次は手足にハンディキャップを負った人の手の役割を少しでも担えるように口周辺の機能を用いて小型ロボットアームを制御することに取り組む.コントローラの構築にあたっては二つのアプローチを行う.一つは電動車いすの操縦用コントローラの原理を利用して二次元平面での座標指示をベースとして行った後に,もう一軸方向の指示を追加し,三次元的に指示を行う方法である.もう一つは円柱座標系などを利用することによって二つのパラメータで三次元の目標点を直接指示する方法である.ハードウェアは比較的安価で小型の市販のロボットアームを改造し,各関節のモータにエンコーダを配置し,回転量をフィードバックすることにより関節の移動量をとる.その関節角度から運動学的に手先位置,腕姿勢等を計算することで指示した目標の位置や姿勢をとることができているか確認を行い,ロボットアームの制御用コントローラとしての評価を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は市販のロボットアームを実験用として利用する.アームの関節にある,各モータのコントローラおよび回転量の計測用にエンコーダを設置するための各種電子部品を消耗品として購入予定である.また,口部入力インターフェースを用いた電動車いすの操作用コントローラについて成果をまとめて投稿する.これらの研究成果の発表等のための費用,旅費およびロボット技術の福祉利用,各種インターフェースに関する研究の調査旅費,学会参加費として使用予定である.さらに,実験の補助およびデータ整理等の補助として学生アルバイトを雇う予定である.
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Research Products
(3 results)