2012 Fiscal Year Annual Research Report
脳波筋電図コヒーレンスのメカニズムを筋感覚フィードバックの視点から解明する
Project/Area Number |
23700683
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
牛山 潤一 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60407137)
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Keywords | 運動皮質 / 骨格筋 / 振動刺激 / Ia求心性神経 |
Research Abstract |
静的筋収縮中,運動皮質近傍の脳波と主働筋の筋電図との間には20Hz帯域のよく似たパターンの波形が観察され,Halliday et al.(Prog Biophys Mol Biol 1995)によって考案されたコヒーレンス解析法は,両波形の相関性を評価することで,運動皮質が筋活動をいかにコントロールしているかを定量的に評価する手法として注目を集めてきた.なかでも,この現象の発現メカニズムについては多くの神経生理学者たちが議論を交わしてきており,近年では,単に皮質からの律動性ドライブが筋へと伝わる遠心性の現象でなく,感覚フィードバックもこの現象の発現に関わっており,感覚情報と運動指令との統合過程を反映していると考えられている.しかし,実際にどの感覚神経が関与しているかについての具体的な検討はなされていない. 本研究では,古くから運動制御に深く関わるとされている筋紡錘ならびにIa求心性神経からなる筋感覚フィードバック系に着目し,この脳波筋電図コヒーレンスの神経生理学的メカニズムの解明を試みた.結果,(1) 長時間の腱への振動刺激によってIa求心性神経からのフィードバックを低減させた条件下では,脳波筋電図コヒーレンスが低下する傾向にあること, (2) 安静時の筋・腱に振動刺激を与えることによって誘発される緊張性振動反射と,感覚運動野近傍の脳波と20Hz帯で同期していること,(3) このとき,運動単位活動を記録すると,脊髄反射由来の成分と経皮質成分とに分離できること,などが示され,筋感覚フィードバックが皮質の活動の律動性に影響を与え,これが運動皮質-筋間のコヒーレンスの生成に重要な系であることが示唆された.
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