2012 Fiscal Year Research-status Report
女性アスリートのキャリアトランジションに関する研究-彼女たちは結婚しないのか?-
Project/Area Number |
23700702
|
Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
上代 圭子 東京国際大学, 商学部, 講師 (00569345)
|
Keywords | 結婚 / 日本人女子サッカー選手 / キャリアトランジション / キャリアプロセス |
Research Abstract |
今年度は、2年計画の2年目であり、インタビュー調査の実施とまとめの作業を行った。 1.インタビュー調査:トップレベルの日本人女子元サッカー選手を対象とし、19名に調査を行った。計画時には、「①未婚②現役中に既婚・現役中に出産経験有③現役中に既婚・現役中に出産経験無④引退後に既婚」という4つのカテゴリーを、「現在サッカー関係の職業に就いているか否か」で2つに分け、8つのカテゴリーの元選手約30名を対象に調査を行う予定であった。だが、現役時に既婚となった元選手はほとんどおらず、出産を行った元選手は皆無に等しかった。また、現在サッカー関係の職業に就いている元選手で結婚している者も多くはなかった。つまり、既婚者の対象者が少なかったことから、当初よりも被験者数が少なくなった。 結果として、トップレベルの日本人女子元サッカー選手は、あまり結婚していないことが明らかとなった。この理由としては、彼女たちが婚姻、家事など妻として役割の両立が困難であると考えていたことによるものである。また、このように考えるようになった理由は、周りからそのように言われてきたというものが最も多かった。ロールモデルとなる先輩女子サッカー選手はほとんど結婚しておらず、ましてや出産をしていない状況において、両立は困難だというように聞いてきたことから、結婚や出産との両立は困難だと考えるようになり、結婚しなかったと考えられる。 2.まとめ:調査結果を、Drahota & Eitzen(1998)のRole-Exit Modelのステージにあてはめてキャリアプロセスの検討を行った。その結果、Role-Exit Model(Drahota & Eitzen、1998)とは異なったキャリアプロセスを通ることが明らかになった。そして、結婚に関するロールモデルの影響と、性役割観がキャリアトランジションのポイントになると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、2011年7月に行われたサッカー女子ワールドカップで優勝したことによって、女子サッカー界も女子サッカー選手も非常に注目される存在となり、社会やメディア、日本サッカー協会や国などからの女子サッカーの扱われ方や、これに伴う選手や元選手の地位、生活状況などが一変した。その結果、当初の研究計画より進行が遅れた。 そこで今年度は遅れを取り戻すべく、集中的に調査を行い、結果を分析する作業を行った。また、調査については、当初は本研究者のみが行う予定であったが、女子サッカー選手に精通している大学院生の協力を得られたことで、分担して行うことができた。その結果、昨年度の遅れを取り戻すことができたと考えている。 論文に関しては現在執筆中であり、学会での発表は6月に海外で行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.結果の分析、まとめ(平成25年4月~6月):残りの調査データを研究協力者によって文字に起こした後、再度詳細な分析を行う。分析方法は以前と同様に、Mayring(1983)が構造化した質的内容分析を援用する。分析した内容は、Drahota とEitzen が構築したRole-Exit Modelの5つのステージを基にまとめ、修正モデルを構築するとともに、再度キャリアプロセスを検証する。 2.学会発表(平成25年6月):分析結果を基に、6月にデンマーク・コペンハーゲンで行われる学会「the FREE conference 2013 in Copenhagen」での口頭発表を予定している。 3.報告書・論文執筆、投稿(平成25年4月~12月):分析結果を基に報告書および欧文論文を執筆し投稿する予定である。報告書は協力者ならびに関係機関に配布する(100 部を予定)。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は本研究のまとめの年として、詳細な分析とその結果のまとめ、学会発表、論文投稿、報告書の執筆を行う。そのため、平成24年度に使用予定であった経費の項目のうち、下記の項目(一部、または全部)を平成25年度の使用とした。 平成25年度の経費の使用予定は、今後の研究の推進方策を基に、下記の通りとする。 1.テープ起こし謝礼 2.翻訳料 3.学会報告のための海外旅費 4.報告書印刷費および発送費
|
Research Products
(1 results)