2012 Fiscal Year Annual Research Report
器械運動の学習指導における身体性の教育-「私は動ける」という動感身体知の形成-
Project/Area Number |
23700706
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Research Institution | Kyushu Kyoritsu University |
Principal Investigator |
濱崎 裕介 九州共立大学, スポーツ科学部, 助教 (10589146)
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Keywords | 身体知 / 発生運動学 / 身体性 / 反逆身体 / 器械運動 / 運動指導 |
Research Abstract |
器械運動で学習する技の多くは非日常的な動きを特徴としているため、「そう動きたい」のに「そう動けない」、動きの欠点は分かっているのに修正できないという事態がよく生じる。その時に学習者は自分の思い通りに動いてくれない「反逆身体」の発生に気づく。今は思い通りに動かない「反逆身体」は「そう動く」ための新しいコツを身につけ、「こんな感じで動けばいい」という動感身体知を形成することによって「動ける私の身体」に変身する可能性を持っている。自己の身体の動かし方を意識して「できない」動き方を「できる」ようにするという学習活動は身体教育として大きな意味を持ち、器械運動の教材的価値と面白さがここに強調される。 「反逆身体」といっても、「怖くてできない、体が動かない(やりたいと思えない)」という情況と「こう動くべきだとわかっていて怖いとも思わないが体が動かない」という情況における学習者の動感地平は異なり、指導手順や練習の場も違ったものを設定しなければならなくなる。 昨年度は器械運動の技が「怖くてできない、体が動かない」という学習者の指導事例を多く検証したが、本年度は「こう動くべきだとわかっていて怖いとも思わないが体が動かない」という事例を研究の対象とした。具体的な事例として、マット運動の後転において頭越しから立ち上がりの際に手だけでなく、前腕部すべてを床面に着いてしまう学習者の修正活動を取り上げ、学会で発表した。手だけを着こうとしているのに「そう動けなかった」のは何が問題であり、何を解決しなければならなかったのかという点に関して発生運動学的視点から検討し、「そう動きたいのに動けない」という情況における動感地平の分析の必要性を示した。
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