2012 Fiscal Year Research-status Report
バレエの回転動作のバイオメカニクス研究―回転を生み出す体肢の協応運動に着目して
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23700714
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井村 祥子 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (30586699)
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Keywords | 回転のバイオメカニクス |
Research Abstract |
本研究の目的は、バレエにおける回転動作を動作分析することで、片脚及び両脚での回転における体肢の協調運動について調べることである。 平成24年度は、昨年度に引き続き回転の実験を行った。さまざまなタイプの回転の失敗方法があったため、できるだけ多くの実験協力者に参加を募り実験を行った。集められたデータから、片脚支持による回転(ピルエット)を連続して回転を行った際のバランスの取り方についてデータをまとめた。先述のような多回転のピルエットができる男性ダンサー5名のデータを分析したところ、多くのダンサーは身体質量中心の下に圧力中心を移動させる方法でバランスをとっているが、この時に圧力中心の位置を支持足の中で移動させる事により調整させていることがわかった。しかし一番バランスの取れていたダンサーについては、支持足ごと移動させることで圧力中心の場所を調整していた。後者の方法があまり多くみられなかった原因について、後者のような調整方法は回転中に体幹や体肢の配置を固定しておかねばならず、細かく大きな筋力調整と、失敗したときのリスクが大きいことが考えられた。この結果は、国際スポーツバイオメカニクス学会(ISBS)にて発表を行う予定である。 データは十分に収集できたので、25年度内には結果をまとめ研究の総括を行う予定である。研究計画では、24年度での学会発表を予定していたが、実験を行った日程や学会発表の締め切り日までに分析が間に合わなかったので、25年度以降の学会発表を一回行い、オーディエンスの反応を見て論文にまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
回転動作を多く撮影したこともあり、データ分析の視点が少しぶれてしまったと考える。今後は回転中のバランス維持に関して体肢の協調動作を見ることに絞ったので、その観点から研究を進めることとする。
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Strategy for Future Research Activity |
回転力の生み出し方、および回転中のバランス維持の方法についてという観点から、体肢の協調運動を紐解くという研究観点に的を絞る。後者の観点からまとめた成果を、ISBS学会で発表する。今年度は実験を行わずに分析を続け、学会での反応を受けて、論文執筆にあたる予定でる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
論文執筆時の英文校正依頼費用、分析ソフト購入費用などに充てる予定である。再実験が必要なときは、被験者への協力謝金として支出する。
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