2013 Fiscal Year Annual Research Report
バレエの回転動作のバイオメカニクス研究―回転を生み出す体肢の協応運動に着目して
Project/Area Number |
23700714
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井村 祥子 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (30586699)
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Keywords | バレエ / 回転動作 / バイオメカニクス / 角運動量 |
Research Abstract |
本研究の目的は、バレエにおける体幹の長軸回りの回転動作を分析して片脚及び両脚での回転における体肢の協調運動について調べることである。平成25年度は、片脚支持による回転(ピルエット)の分析を行った。ピルエットは、最初に下肢を前後に開いて構え、上肢を水平面内で回転させながらその場で片足立ちとなる回転動作である。バレエでは必須の技術であるが、バレエシューズ(前足部が床に接地する柔らかなシューズ)でピルエットを行った場合、プロバレエダンサーでは女性では連続2-3回転、男性は連続3-5回転が一般的である。平成25年度ではこの違いについて調査した。また平成24年度までの研究結果を国際スポーツバイオメカニクス学会で発表した。 プロバレエダンサー15名(男性5名女性10名)によるピルエットを撮影し、体幹長軸回りの回転の勢い(角運動量)が生じる局面と体肢の動作、角運動量の違いについて分析した。ダンサーには1回転から失敗するまで回転数を増やしてピルエットを行うよう指示した。 ピルエットの回転数は、女性は平均2.8回転、男性は平均6.8回転であった。 ピルエットの開始時の上肢の回転と爪先立ちのキック力及び支持足の摩擦力が角運動量を生み出していた。体重と身長を考慮しても、男性のほうが女性よりも角運動量が大きく、男性の1回転ピルエットの角運動量は女性の3~4回転のピルエットのそれに匹敵した。また、男女ともに4回転以上の角運動量の増加は1~3回転までの角運動量の増加に比べ小さかった。女性では支持足圧力中心を通る体幹長軸回りの慣性モーメントの値にほぼ変化はなかったが、男性では4回転以上のピルエットで1回転目からその値が減少した。多回転のピルエットでも回転初期に全角運動量を得ており、4回転以上では初期に得た角運動量で回れるように支持脚以外の体肢の配置をより身体の中心に引き付けて回転を維持していることがわかった。
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