2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23700804
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
石井 聡 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 病院講師 (90587809)
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Keywords | 疲労感 / ミラーシステム / 脳磁図 |
Research Abstract |
本研究は複数のパラダイムを用いて疲労感に関連する脳部位を同定することで、疲労のミラーシステムの存在を示し、疲労感の神経メカニズムを明らかにすることを目指している。平成23年度は身体疲労における疲労感の神経基盤について検討を行った。インストラクション(暗示)によって被験者に疲労感を生じさせることができる可能性に着目し、疲労負荷課題を行った場合に障害となる慣れや意欲、そして脳活動測定時の体動・ノイズの問題を完全にのぞいた実験を考案した。疲労感に関連する脳活動を評価する目的で時間分解能に優れた脳磁図による脳活動の測定を行った。その結果、インストラクションにより疲労感が有意に増加すること、その際に後帯状回が活動していることが明らかになった。平成23年度から平成24年度にかけては、疲労感の神経メカニズムのなかでも、身体的疲労および精神的疲労の程度を評価する際に働く脳部位を明らかにする研究を行った。被験者に身体的疲労の程度を複数回評価してもらいその間の脳活動を脳磁図で測定した実験では、身体的疲労の評価に伴って後帯状回の活動が観察され、その活動強さは疲労の程度を適切に評価できた度合いと正の相関を示した。被験者に精神的疲労の程度を複数回評価してもらいその間の脳活動を脳磁図で測定した実験では、コントロールの条件に比べて精神的疲労の評価を行う条件で後帯状回の活動がより強く認められた。これらの結果は後帯状回が疲労感の神経メカニズムに深く関わっていることを示している。我々はこれまでに疲れた表情を見ることで後帯状回が活動することを報告してきたが、平成23年度および平成24年度に得られた結果は疲労感のミラーシステムの存在を示唆する重要な成果である。これらの研究により疲労認知の神経メカニズムが明らかになることで、疾患関連疲労を中心とした疲労への対処法の開発に大きく貢献できるものと考えられる。
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Research Products
(3 results)