2011 Fiscal Year Research-status Report
アスリートにおける運動後低血圧応答とそのメカニズムの解明
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23700855
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
斉藤 陽子 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学研究部, 研究員 (90549461)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 運動後低血圧 / アスリート / 競技特性 / コンディショニング |
Research Abstract |
当該年度の研究実施内容については,以下の通りである.【方法】対象は,持久系競技男子アスリート群(以下持久群)11名,筋力系競技男子アスリート群(以下筋力群)9名,一般男子学生(以下一般群)8名とし,漸増負荷自転車運動を疲労困憊まで行わせた.運動終了30分,60分,90分後に仰臥位にて上腕血圧を測定するとともに,血圧規定因子の評価として,超音波Mモード法を用いて胸骨左縁より左室長軸断層像を記録し,Teicholtz法により心拍出量を求めた.また対側肢より静脈閉塞法を用いて前腕血流量を測定し,血圧で除して血管抵抗を求めた.【結果】血圧は安静時において筋力群が他の2群と比べて高い様子が観察された.運動終了30分後においては,3群ともに安静値より低下し,その後経時的に回復する様子が観察された.安静時からの血圧低下率は,持久群および一般群においては同様の経時変化を示し,特に持久群において30分後により低くなる傾向にあり,その後経時的に回復する様子が観察された.しかし,筋力群においては安静時より大きな変動が認められなかった.現在,その要因を探るべく血圧規定因子の分析を進めている. 【意義・重要性】アスリートは,競技・運動特性によって異なる心血管系の適応を生じており,彼らの運動後低血圧応答の程度やメカニズムは,従事する運動の特性によって異なる可能性が予想されていたが,今回の実験結果より,運動後の血圧応答およびその規定因子の振るまいが競技・運動特性の違いにより異なることが示された.このような現象およびそのメカニズムや生理学的意義を解明することは,アスリートの運動後のコンディショニングに新しい知見を与える可能性が考えられ,次年度も実験結果の分析を継続していく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた内容をほぼ予定通り遂行することができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
23年度の成果発表を国際学会(the 17th annual congress of European College of Sport Science, Belguim 2012.7)および国内学会(第67回日本体力医学会,岐阜,2012.9)で行った後,論文発表を行う.また24年度実施予定の実験について,実験系の確立からデータ取得までを行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に国内・国際学会および論文による成果発表(50万円),実験の実施(200万円)のために使用予定である.なお,今年度実施した実験は,他の研究実験と被験者を共有することになった関係で,当研究費から被験者謝金の負担を行わなかった.その分の研究費は次年度,研究協力者に係る費用等(早朝測定に伴う前泊費用)に充当される.
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