2013 Fiscal Year Research-status Report
車いす障害者の交通事故防止に向けた高視認性安全服・防護具の開発
Project/Area Number |
23700876
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Research Institution | 公益財団法人労働科学研究所 |
Principal Investigator |
落合 信寿 公益財団法人労働科学研究所, 研究部, 研究員 (90386649)
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Keywords | 色彩科学 / 交通安全 / 衣服 / 車いす / 視認性 / 嗜好 |
Research Abstract |
車いす利用者向けの高視認性衣服は、色の好みなど情緒面でもユーザの欲求を満たすカラーデザインが求められる。それを簡便に実現する手段として、高視認性衣服に用いられる赤、オレンジ、黄を単独で用いずに、他の色と組み合わせた配色を適用することで、一定の視認効果を維持しながら嗜好性を高めることが可能になると考えられる。平成25年度は、目立ち感が高く多くの人に好まれやすい配色を明らかにすることを目的とし、車いす利用者200名、非利用者200名の計400名を対象にして、車いす用レインウェアに適用する二色配色の好ましさと目立ち感に関するインターネット調査を実施した。また、車いす利用者200名に対しては、車いす用レインウェアのニーズに関する調査も併せて実施した。調査に用いた二色配色は、日本色研配色体系(PCCS)の色相、トーンの組み合わせにより39種類を設定した。配色の上半に高視認性衣服の使用色を模したビビッドトーンの赤、オレンジ、黄の3色を配置し、配色の下半に、ビビッドトーン4色相、ライトトーン4色相、ダークトーン5色相を組み合わせ配色を構成した。調査結果から、高視認性衣服の使用色3色のうちでは、黄を用いた配色の評価が好ましさ、目立ち感の両面で高く、ビビッドトーン、ライトトーンの緑、青との組み合わせなど、複数の配色において、車いす利用者、非利用者ともに評価が高いことが明らかになった。これより、車いす用レインウェアは、黄を基調として、評価の高い配色を複数組み合わせることにより、三色配色以上の複雑な色使いで機能性・嗜好性の高いカラーデザインを実現できる可能性が示唆された。ニーズに関する調査結果から、111名(55.5%)が車いす利用時に交通場面で事故ないし危険状況の経験を有すること、121名(60.5%)が高視認性レインウェアが実用化された場合利用したいという意向を有することなどが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
病気療養で2013年12月末まで約1年間休職していたため、その間研究を進めることができなかった。2014年1月から復職したので、研究計画を一部変更し現在研究を進めているが、当所の目的である高視認性安全服の試作開発に至る段階までにはまだ達していない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度研究の成果に基づき、高視認性衣服の試作開発に関する知識と経験を有する専門機関の協力を得て、平成26年度中に当初の目的である試作開発を実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
病気療養で2013年12月末まで約1年間休職していたため、その間研究を進めることができなかった。2014年1月から復職したので、研究計画を一部変更し現在研究を進めているが、当所の目的である高視認性安全服の試作開発に至る段階までにはまだ達していない。 高視認性衣服の仕様・デザインの検討、試作品の製作には、高視認性衣服製作の知識と経験を有する専門機関の協力を得るため、それに係る費用(業務委託費など)が発生する。試作品デザインを決定するためのデザイン案評価はインターネット調査を実施する予定であるが、そのデータ収集を調査会社に依頼するため業務委託費が必要である。また、学会での成果発表にあたり旅費が必要となる。
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