2012 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪組織のビタミンA代謝およびその肥満抑制効果に関する研究
Project/Area Number |
23700919
|
Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
山口 範晃 長崎県立大学, 看護栄養学部, 助教 (80516295)
|
Keywords | レチノイン酸 / エネルギー消費 / 脂質燃焼 / 脂肪組織 / 高脂肪食 |
Research Abstract |
これまで申請者は、ビタミンAの誘導体であるall-transレチノイン酸(ATRA)が、体内の脂肪組織重量を減少させることを報告した。この要因として、ATRAが脂質の合成抑制および分解促進を誘発する可能性があるからだと考えられる。このように、ATRAが脂質代謝と脂質に由来するエネルギー代謝などを変動させていると推測されるが、その要因については十分に研究されていない。そこで本研究では、高脂肪食を摂食させたマウスにATRAを経口投与したときの、脂肪組織重量およびエネルギー代謝の変動について検討した。 方法として、5週齢から13週齢までC57BL/6Nマウスに標準食(AIN-93)および高脂肪食(脂肪エネルギー比率60%)を摂食させ、同時にATRAを5 mg/kg weight経口投与した。12週齢時に、生体ガス分析用質量分析装置による呼気分析、およびX線CT装置による体組成の測定を行った。13週齢時のマウスを断頭屠殺後、副睾丸脂肪組織から総RNAを採取し、リアルタイムRT-PCRにより各種遺伝子の発現量を測定した。 高脂肪食を摂取させたマウス群(HFD群)は、標準食を摂食させたマウス群と比較して、体重および脂肪組織重量が有意に増加した。一方、ATRAを投与したマウス群(ATRA群)は、HFD群と比較して、体重および脂肪組織重量が有意に低値を示した。飼育期間中の摂食量はHFD群とATRA群で殆ど差は無かったが、呼気分析による体重あたりのエネルギー消費量および脂質燃焼量は、HFD群よりもATRA群で増大した。さらに、脂質燃焼に関わる脱共役タンパク質UCPsの遺伝子発現量がATRA群で上昇していた。以上のことから、ATRA投与により、脂質燃焼によるエネルギー消費量を増大させることで、脂肪組織重量の蓄積が抑制される可能性が示唆された。
|
Research Products
(3 results)