2013 Fiscal Year Research-status Report
認知症と糖尿病の関係を探る―脳内神経伝達物質を指標として―
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23700942
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
西森 敦子 (西山 敦子) 中村学園大学, 栄養科学部, 助手 (90461475)
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Keywords | マイクロダイアリシス / セロトニン / 糖尿病 / スコポラミン |
Research Abstract |
健常ラットと糖尿病ラットに一時的に健忘症を引き起こす臭化水素酸スコポラミン(Sco)を投与し、ラット脳海馬セロトニン(5-HT)放出量の違いをマイクロダイアリシス法により比較検討した。 まず実験に用いたラットは、①健常ラットに生理食塩水を投与した場合、②健常ラットにScoを投与した場合、③糖尿病ラットに生理食塩水を投与した場合、④糖尿病ラットにScoを投与した場合の4種類である。なお、糖尿病ラットは、健常ラットにストレプトゾトシン(60mg/kg)を投与し作成した。また、生理食塩水もしくはSco(1.5mg/kg)は、1日1回、10日間連続投与を行っている。 マイクロダイアリシス実験において、各モデルラットに5-HT作動薬もしくは、阻害薬を脳内へ灌流した実験を行った。5-HT3作動薬(CPBG;100μM)を灌流したところ、ベースラインレベルと比較して、健常ラットに生理食塩水を投与した場合では2.86±1.08倍(n=3)、健常ラットにScoを投与した場合は2.56±0.47倍(n=3)で変化はなかった。また、糖尿病ラットに生理食塩水を投与した場合は6.96倍(n=2)、糖尿病ラットにScoを投与した場合は3.28倍(n=2)であった。 一方、5-HT3阻害薬(ICS205-930;100μM)を脳内へ灌流したところ、ベースラインレベルと比較して、健常ラットに生理食塩水を投与した場合では4.56±0.96倍(n=3)、健常ラットにScoを投与した場合は3.95±2.72倍(n=3)であった。また、糖尿病ラットに生理食塩水を投与した場合は13.53倍(n=2)、糖尿病ラットにScoを投与した場合は3.86倍(n=1)であった。糖尿病ラットの例数は1~2例ずつであるため、標準偏差を表すことや統計処理を行うことはできないが、健常ラットと糖尿病ラットの結果に違いがみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究におけるマイクロダイアリシス実験の実施までには、各モデルラットの作成および脳定位手術、さらに手術の回復期間が必要であり、1つのモデルラットを作成し、データを出すためには大変な時間と労力が必要である。さらに、糖尿病ラットを作成することも時間がかかる原因の一つに挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の課題および今後の推進方策については、マイクロダイアリシス実験の例数を増やすこと、また、その他のセロトニン(5-HT)作動薬・阻害薬を直接脳海馬に灌流させ、4種類のモデルラットでの5-HTの放出量を比較していくことである。 また、行動学的な実験とあわせて、総合的なデータの取りまとめを行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
他の学会参加を予定していたが、参加できなかったため、研究費の繰越が生じた。 平成26年度では、実験に必要な消耗品の購入および論文投稿にかかる経費として使用する予定である。
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Research Products
(11 results)