2012 Fiscal Year Annual Research Report
有機化学の多面性を実感できる実用的化学実験教材の開発
Project/Area Number |
23700956
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
網本 貴一 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (60294873)
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Keywords | 化学教育 / 実験教材 / 教材開発 / 有機化学 / 材料科学 / 生体関連化学 |
Research Abstract |
中等教育課程の有機化学分野に関して、既習の学習内容と関連づけて身の回りの現象や材料・生体物質を捉えるとともに、生徒の興味・関心と探究活動への意欲を喚起できる実験教材を開発することを目的とし、[A]有機化学・[B]材料科学・[C]生体関連化学の3分野で研究を推進した。 [A]有機化学 (1)光学異性体の導入素材であるヒドロキシ酸とアミノ酸を組み合わせて簡便に光学分割を行える実験教材を開発した。(2)Friedel-Crafts反応とアルコールの反応性を学ぶ実験教材開発の一環として、1,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)-2,5-ジメトキシベンゼンの結晶構造を明らかにした。(3)カルボニル化合物の定性分析に用いられる2,4-ジニトロフェニルヒドラジンに色調の異なる多形結晶の存在を見いだし、多形結晶の形成条件ならびに結晶構造と吸収特性の関係を明らかにした。(4)有機化合物の定性分析や官能基変換を用いて有機化合物の構造を決定するという探究活動を通じて、有機化合物の性質や反応を学ぶことができる化学実験教材を開発した。 [B]材料科学 (1)高分子の分子量を中和滴定による末端基定量と粘度測定で簡便に求める教材的手法を確立し、実験室的合成から分子量決定までの学習活動の具体例を提案した。(2)色材に含まれる金属イオンを探究的に同定する学習活動を通じて、生徒が金属イオンの反応性を理解することのできる実験教材を開発した。(4)銅フタロシアニンを素材として、その構造や性質・合成に関する探究活動を提案した。 [C]生体関連化学 (1)生体内化学反応の好例としてアルコール発酵を取り上げ、代謝の多段階性とアルコール発酵の量的関係を探究できる実験教材を開発した。(2)医薬品に関する実験素材として解熱鎮痛薬イブプロフェンに着目し、中和滴定による含量決定や酸塩基抽出による成分分離の教材的実験方法を提案した。
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Research Products
(17 results)