2011 Fiscal Year Research-status Report
内臓感覚呈示による胎動呈示可能な妊娠体験システム"MommyTummy"の開発
Project/Area Number |
23701001
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
小坂 崇之 神奈川工科大学, 情報学部, 助教 (10367451)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | バーチャルリアリティ / ヒューマンインタフェース / 五感通信 |
Research Abstract |
初年度は、研究実施計画に従い妊婦体験システムのプロトタイプ(胎動ベルト、妊婦ジャケット、制御モード)の制作をおこなった。胎児の胎動を腹部に呈示する胎動ベルトには、46個のエアアクシュエータを組み込み、時間差で動作させることにより仮現運動を作り出している。また、妊婦時に乳房が大きくなることが知られている。妊婦ジャケットにバルーンを用いることにより乳房の膨らみを作り出している。 作成したプロトタイプを国内外様々な24カ所で展示をおこなった。一年間の総体験者数は727名(男性:448名、女性:279名)であった。日本国内の展示では、男性の体験者は、自ら進んで体験して来るのではなくパートナーや妻や子供の勧めで、しぶしぶ体験していたという例が多く見られた。一方、海外での展示では、男性が自ら進んで体験する姿が多く見られた。SIGGRAPH2011においては5日間の展示中、体験者は269人(男性157人、女性112人)であった。海外での男性の体験者の割合が圧倒的に高く妊婦に対する関心の高さが伺える結果となった。また、ABCテレビ(アメリカ)などのテレビ局(8件)、また各種新聞社(4件)からの取材を多く受ける結果となり、本研究に対するメディアの関心の高さを伺える結果となった。 また、体験時やWebにおいて「妊婦に対するアンケート調査」をおこなった。市町村が行なっている両親学級において約40%近くが「参加したことがない」との回答を得た。また参加者の内の約60%近くが「妊婦体験ジャケットを着用したことがない」との回答を得た。多くの両親学級において妊婦体験ジャケットの普及が進んでいない現状があきらかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画において、腹部内臓感覚呈示メカニズム解明のための2点弁別域実験を計画していたが、プロトタイプの制作の遅れから実験まで行えていないのが現状である。しかしながら、初年度においての体験者の総数が727名と多くプロトタイプの検証実験としては十分な数を満たしているともいえる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度におこなった体験会において、家族連れの体験者から「子供用ジャケット」の制作の要求が多く寄せられた。展示会において、小学生に大人用ジャケットを装着したところ「おかあさん大変だったんだね」という発言が多く見られた。大人用だけでなく子供用を制作することにより、子供が親を労ることを促進することができるのではないかと考える。体験会において実際に体験することで体験者の意見を参考に今後の研究に生かしていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度は、妊婦体験ジャケットのプロトタイプ制作に重点を置き制作を行った。このため計画していた二点弁別閾実験まで行えず、予定していた実験被験者や実験補助に対する謝礼が初年度の未使用額が生じた理由である。次年度には二点弁別閾を行う予定である。 初年度における研究成果をもとに、妊婦体験者を対象に、検証実験(アンケート調査、インタビュー調査)を行い改良を行う予定である。検証実験は体験者に目的を説明、同意のもとで調査を行う。また、実験で得られた個人データは第三者に漏れることのないように厳重に管理し、本研究課題以外で用いることはしない。データの扱いは、個人情報保護法令に準拠する。 実際に学校や教育機関、市町村の両親学級での運営を想定した場合、コンパクトかつ軽量化が求められる。現段階ではシステムが複雑かつ巨大で容易に扱うのは難しいのが現状である。次年度においては、システムの軽量化を行なっていく予定である。 また、初年度において展示の場は、学会や産業展示会といった場に限定されており、体験者の業種や年齢も限られいた。次年度においては、マタニティフェスタや子育て支援フェスタといった育児に関する展示会においても積極的に参加していく予定である。
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