2012 Fiscal Year Research-status Report
内臓感覚呈示による胎動呈示可能な妊娠体験システム”MommyTummy”の開発
Project/Area Number |
23701001
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
小坂 崇之 神奈川工科大学, 情報学部, 助教 (10367451)
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Keywords | バーチャルリアリティ / ヒューマンインタフェース |
Research Abstract |
我々は胎動提示ベルト制作にあたり、Weinstein の研究をもとに,更に腹部の触覚精度を部位別に明らかにするため,腹部の触二点弁別閾を測定した。腹部を3つの部位に分け、極限法を用いて二点弁別閾を測定した。2 点の刺激の最小単位を10[mm]とし,部位ごとに± 5[mm]の範囲で20 代前半の男女4 名を被験者とし予備実験を行った.妊婦体験システムは服の上から着用するため本実験においても服着用のもとに実験を行った。この実験によると着衣状態での腹部の2点弁別閾は5cmであった。このことから、胎動提示ベルトを作成するにあたり各アクチュエータ設置間隔を5cmに設定すればよいことが明らかになった。 また、研究実施計画書に従いウェアラブル化について検討を行った。現在、胎動の提示には、エアコンプレッサを用いてエアアクチュエータを膨張させることで胎動を提示している。このため、胎動ベルトと制御ボードの間には複数のワイヤで接続されている。我々は、振動子を用いることで胎動の全身運動を再現することに成功している。しかしながら、屈曲運動の胎動の提示には工夫が必要な状態である。また、現在、ウォータヒータで温めた温水を注入し循環させることで体験者に体温提示を行っていたが、シートヒーターを用いたとしても同等の効果が得られることが解明された。温水を注入する方式よりも安価でロバストな構造にすることが可能になった。しかしながら、本システムでは、温水を注入することで育っていく胎児の重さを提示しているため、完全なウェアラブル化には問題が残る。 作成したプロトタイプを用いて全国15カ所で展示をおこなった。2年度目の体験者数は366名(男性:192名、女性:174名)であった。初年度の体験者と合わせると総体験者は1093名(男性:640名、女性:453名)になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の遅れを取り戻しおおむね順調に進展しているといえる。また、研究実施計画書に従いウェアラブル化について検討を行っている。現在、胎動の提示には、エアコンプレッサを用いてエアアクチュエータを膨張させることで胎動を提示している。このため、胎動ベルトと制御ボードの間には複数のワイヤで接続されている。我々は、振動子を用いることで胎動の全身運動を再現することに成功している。しかしながら、屈曲運動の胎動の提示には工夫が必要な状態である。また、現在、ウォータヒータで温めた温水を注入し循環させることで体験者に体温提示を行っていたが、シートヒーターを用いたとしても同等の効果が得られることが解明された。温水を注入する方式よりも安価でロバストな構造にすることが可能になった。しかしながら、本システムでは、温水を注入することで育っていく胎児の重さを提示しているため、完全なウェアラブル化には問題が残る。このため体験初期時からのウェアラブル化は断念し、胎児成長後にケーブル類の切り離しを行うことでウェアラブル化を図ることにする。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、研究実施計画書に従い制作した妊婦体験システムの評価を行う。既存の妊婦体験ジャケットは、子育て応援セミナや助産法の学習時などに病院などで用いられており、それらに変わるシステムとして運用と評価を行う。妊娠体験者を対象に、検証実験(アンケート調査、インタビュー調査)を行い改良版の問題点と改良を行う予定である。検証実験は被験者に目的を説明、同意のもとで調査を行う。また、実験で得られた個人データは第三者へ漏れることのないように厳重に管理し、本研究課題以外で用いることはしない。データの扱いは、個人情報保護法令に準拠する。また、学校や教育機関においても命の大切さを学ぶ教育などで用いていく。さらに、Mommy Tummyを用いることでどのようなコンテンツを享受することができるのかを探る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度に試作を行った妊婦体験システムのプロトタイプの体験者は1093名(男性:640名、女性:453名)にのぼる。このためジャケットが破れるなどの破損が生じている。最終年度は、「今後の研究の推進方策」で述べたように妊婦体験システムの評価実験を行う予定である。この実験に耐えうる様に研究費を用いてジャケットの作り直しを行う予定である。また。マタニティフェスタや子育て支援フェスタといった育児に関する展示会においても妊婦体験システムを積極的に参加していく予定である。 今年度において未使用金額25,184円発生した。これは当初予定していた人件費・謝金費と展示における消耗品費の残金である。今年度、腹部における触二点弁別閾実験を行ったが、本実験はボランティアの学生たちにより行われ費用が発生しなかった。また胎動を提示するためのエアアクチュエータとして風船を用いている。体験毎に交換する必要がないが風船が割れると交換している。風船が割れる確率はランダムである。今年度の体験において風船が割れる確率が低く予想していた個数を下回ったため未使用として残った。
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