2013 Fiscal Year Annual Research Report
博物館標本の種子を用いた絶滅植物集団の復元と標本管理方法の開発
Project/Area Number |
23701024
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
志賀 隆 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (60435881)
|
Keywords | 博物館標本 / 植物標本種子 / 発芽 / 絶滅危惧植物 / 復元 |
Research Abstract |
●標本種子が発芽可能な種のリストアップ:前年度からの継続調査として、大阪市立自然史博物館の植物標本庫から合計117種555標本の種子を得て発芽試験を行い、23種54標本において発芽が確認された。テトラゾリウム染色試験で生存と判断されたものを含めると生 存種子は合計73種235標本であった。 ●野生集団と復元集団の遺伝的組成の比較:スズサイコについて4標本由来の実生集団32個体と野生集団131個体の遺伝的多様性をマイクロサテライトマーカーを用いて比較した。標本種子自体の遺伝的多様性は非常に低いが、標本種子にのみ見られる固有アリルがみられたことから、これらを再導入した場合に遺伝的多様性を増加させられる可能性が明らかになった。 ●最適な標本作製方法、管理方法の開発:2012年度標本を作成した7種に加えて、埋土種子の寿命が明らかになっているハコベ、ナズナ、ビロードモウズイカ、メマツヨイグサ、キンエノコロ、アカメガシワの6種について12種類(乾燥処理3条件×保存温度2条件×保存時の酸素条件2条件)の方法で標本を作成し、発芽実験を実施した。13種のうち7種において80℃の乾燥処理を施すと他の乾燥処理を施すよりも生存率が低い傾向がみられた。保存温度と酸素条件についてはそれぞれ1種と2種のみが生存率に影響を受けていた。 ●栽培と生品展示:2012年度からの活動に加えて、大阪市立自然史博物館において企画展「植物標本のタネは地域の自然を救う!?」~時を越えて発芽する植物標本のタネ~(2014年3月15日~5月31日)を企画し、市民に成果を公表した。 ●結果のまとめ:日本陸水学会甲信越支部会(平成25年12月)、日本植物分類学会(平成26年3月)において研究成果を発表した。また標本種子や博物館標本のステークホルダーに関する論文をまとめた。
|
Research Products
(8 results)