2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23701040
|
Research Institution | 独立行政法人国立長寿医療研究センター |
Principal Investigator |
山越 貴水 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 老化機構研究部, 室長 (50423398)
|
Keywords | 肥満 / 発癌ストレス / 癌抑制遺伝子 / p16 / p53 |
Research Abstract |
肥満は癌の発症リスクを増加させる代表的な生活習慣病であるが、肥満による癌発症率の増加が具体的にどの様なメカニズムを背景としているかは今なお殆ど不明なままである。我々は最近、肥満と同様、癌抑制遺伝子p53の不活性化が発癌ストレスのセンサーとして知られる癌抑制遺伝子p16の発現を脂肪組織において誘導することを見出している。我々は、本研究計画において、肥満による発癌ストレス発生機構を明らかにする目的で、肥満モデルマウスやp53遺伝子欠損マウスの脂肪組織を用いたp16発現細胞の特定とその細胞群を用いた解析により肥満によって生じる発癌ストレスの実態を解明することを目指した。フローサイトメトリーを用いて脂肪組織の構成細胞である脂肪細胞、脂肪前駆細胞、繊維芽細胞、マクロファージやリンパ球の細胞集団に分画し、各細胞集団におけるp16レベルの解析を行った。その結果、野生型の肥満マウスやp53遺伝子欠損マウスにおいてp16の発現は脂肪組織の脂肪前駆細胞で著しく高くなっていることを見出した。このことは、肥満やp53遺伝子欠損は脂肪組織の脂肪前駆細胞において発癌ストレスを発生させることを示唆している。また我々のこれまでの研究から、p53の不活性化による発癌ストレスはDNAダメージを引き起こし、活性酸素種(ROS)の発生を増加させることが明らかとなっている。そこで、脂肪前駆細胞においてp53遺伝子欠損がDNAダメージやROSを発生させるかどうかについて検討を行った。その結果、p53遺伝子欠損は脂肪前駆細胞においてDNAダメージを引き起こし、更にROSの産生も上昇させることが示された。これらの結果から、脂肪前駆細胞におけるDNAダメージやROS産生の増加が肥満による発癌ストレス発生のメカニズムに深く関与していることが示唆される。
|
Research Products
(1 results)