2011 Fiscal Year Research-status Report
マススペクトロメトリーによるCTLエピトープの探索
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23701079
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
岡村 文子 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍免疫学部, 研究員 (10546948)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 腫瘍免疫 / CTL / エピトープ / マススペクトロメトリー |
Research Abstract |
腫瘍細胞から細胞傷害性Tリンパ球(CTL)エピトープを同定するために、ヒト主要組織適合性抗原(HLA)+エピトープペプチド複合体を細胞溶解液から分離してくるための方法を検討した。まずプロテインA磁気ビーズを結合させた抗体の作製および確認を行った。HLAの型のうち免疫療法への応用を視野に入れて、日本人に多い型であるA24の系を確立するために、抗HLA-A24抗体とプロテインA磁気ビーズと結合後、解離しないように架橋剤を用いて架橋した。このプロテインA磁気ビーズ結合抗HLA-A24抗体が架橋しているかどうかを判定するために、架橋前後のサンプルを蛋白質用電気泳動にて比較した。その結果、架橋前サンプルで抗体の重鎖と軽鎖のバンドが有り、架橋後に重鎖と軽鎖のバンドが消失していることを確認できた。 次に作製したプロテインA磁気ビーズ結合抗HLA-A24抗体を用いて、HLA-A24を発現している腫瘍細胞の溶解液と反応させた。この溶液を磁石を用いて磁気ビーズとそれに結合している物質を分離して、洗浄を繰り返した後、ウエスタンブロッティング用にサンプルを調製した。このサンプルを用いて、抗HLAクラスI抗体を用いてウエスタンブロテッィングを行ったところ、HLA-A24のサイズのところにバンドが検出された。これらのことから、腫瘍細胞からHLA-A24特異的エピトープを調製する系を確立できたと考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた研究計画に基づき、必要なシステムの確立に成功しているものの、専門知識を必要とするマススペクトロメトリー解析が、研究計画の達成度を遅らせている主な原因である。 予定では、名古屋大学で専門の技術員と共に行う予定であったが、当施設に導入された機械でのたちあげを行ったため、単独での試行錯誤に時間がとられてしまった。 そのため、初年度の予定であったエピトープ同定はできなかったため、達成度は6割程度でやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
マススペクトロメトリー解析機器は時間をかけて試行錯誤する必要があると考え、平行して抗原提示機構の異なる腫瘍細胞を既に調製中である。平行して行うことで、解析機器の最適な条件設定を行いつつ、細胞の調製も行っていくことで時間のロスを最小限にしようと考えている。マススペクトロメトリー解析の最適化が済み次第、すぐに細胞溶解液からのエピトープ同定を行えるように準備して、効率よく研究を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
抗原提示装置の異なる腫瘍細胞の調製および引き続きマススペクトロメトリー解析装置の最適条件化を行う。 膵がん細胞においてK-ras変異体によるオートファジーの活性化によって提示されるCTLエピトープが生成されていることを見出した。さらには、このオートファジーは薬剤や飢餓状態によって誘導されるオートファジーでは本エピトープは生成されないことから、K-ras変異体によって発生した腫瘍特異的な現象である。このエピトープ以外にもK-ras変異体によって恒常的に活性化したオートファジーによってHLAクラスIエピトープが生成されている可能性を調べるために、K-ras変異体を導入してオートファジーを活性化させた細胞とその親株細胞にそれぞれHLA-A24を導入して、それぞれから細胞溶解液を準備して、抗HLA-A24抗体とプロテインA磁気ビーズを用いて、A24結合性エピトープの同定を行う。
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Research Products
(5 results)