2011 Fiscal Year Research-status Report
造血器腫瘍におけるがん抑制的microRNAの同定
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23701080
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
渡部 敦 秋田大学, 医学部, 医員 (80567157)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | microRNA / 造血器腫瘍 / 悪性リンパ腫 / 多発性骨髄腫 |
Research Abstract |
造血器腫瘍(主に悪性リンパ腫、多発性骨髄腫を中心に)において発現が低下しているmiRNAの解析を行なった。 まず始めに、NKリンパ腫においてはmiR-150の発現が低下し造腫瘍性に関与する事を明らかにした。MiR-150の標的遺伝子を同定する為に、複数のNKリンパ腫細胞株に対しmiR-150をウイルスベクターを用いて強制発現させた。その結果、miR-150の標的遺伝子がAKT2, DKC1であり、それらの発現を抑制する事で腫瘍細胞がSenescence(細胞老化)に至ることを見いだし報告した (Leukemia,2011) 。 次いで他のB細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫においてmiRNA発現変化を解析し、癌抑制的に働くいくつかのmiRNAを絞り込み、同様の手法で細胞株に発現させる事で標的遺伝子の同定、機能解析を進めている。多発性骨髄腫においても同様の手法で解析を開始し、いくつかの候補となるmiRNAについて解析を行っている。 本研究で同定されたmiRNAは、本来であれば癌抑制的な機能を有し腫瘍の発生、増殖のメカニズムに重要な役割を果たしている。標的となる遺伝子を同定する事は、治療の標的を見いだすため重要である。腫瘍細胞では大きく発現が低下しているmiRNAは、診断のための新規のツールになる可能性を有しており、適切なデリバリーシステムを利用する事でmiRNAの補充療法が新規治療法になる可能性を秘めている。造血器腫瘍に特異的な発現あるいは疾患特異的なmiRNA発現変化を示す事は、今後の血液疾患の臨床分野に大きな影響をあたえる重要な研究と考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
疾患ごとのmiRNAの発現解析を進めているが、NKリンパ腫に関しては標的遺伝子の解析を終え、研究成果を報告する事が出来ている。その他のリンパ腫細胞についても発現解析を終えており、機能解析を進行中である。次年度の目標である機能解析を開始しており、ほぼ当初の計画通りと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
それぞれの細胞株を用いたmiRNAの強制発現により標的遺伝子の同定を行う予定である。標的遺伝子の同定後は、蛋白発現変化を確認する事で、miRNAの機能を確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
癌抑制的miRNAが作用する標的遺伝子を同定するために、遺伝子発現解析や蛋白発現の変化を解析する予定である。そのため遺伝子精製および発現解析用キットの購入や、蛋白変化を確認するためのwestern blot 用抗体の購入が必要である。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] The role of microRNA-150 as a tumor suppressor in malignant lymphoma.2011
Author(s)
Watanabe A,Tagawa H, Yamashita J, Teshima K, Nara M, Iwamoto K, Kume M, Kameoka Y, Takahashi N, Nakagawa T, Shimizu N, Sawada K.
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Journal Title
Leukemia
Volume: 25(8)
Pages: 1324-1334
DOI
Peer Reviewed
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