2011 Fiscal Year Research-status Report
新たな氷床コアガス分析手法による過去2000年の高精度グリーンランド気温変動復元
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23710020
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
小端 拓郎 国立極地研究所, 研究教育系, 特任研究員 (00527129)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 気候変動 / グリーンランド / 完新世 / 氷床コア / 同位体 / 空気 / 温暖化 / フィルン圧密モデル |
Research Abstract |
・これまで、国立極地研究所では行われていなかった氷床コア中の気泡の窒素とアルゴン同位体比の同時計測を可能とするため、ガス抽出装置の作成と、極地研の現有設備である質量分析計の整備・調整を行った。・コペンハーゲン大学とアルフレッドウェゲナー極域海洋研究所において、予定した全てのNGRIP氷床コアサンプルの切り出しを行った。その氷床コアサンプルを、断熱材を用いた箱を使いサンプルの温度をマイナス20℃以下に保って国立極地研究所へ輸送した。・温度復元を行う際に用いるフィルンの圧密モデルと、グリーンランドのGISP2氷床コアのデータを使って過去4000年のグリーンランドの気温変動の復元手法を確立し、論文を1遍出版した。・復元されている過去1000年のグリーンランドの気温データ(Kobashi et al., 2010)を使って、太陽活動がグリーンランドの数十年から百年規模の気温変動に影響することを発見した。この結果を、論文にまとめ現在投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
氷サンプルの輸送、ガス抽出装置の作成は順調に終了した。現在、室外空気を使ったガス抽出装置のテストと質量分析計の調整を行っている。この調整が予定よりも多少時間がかかっているが、7月にはサンプルの分析を始める予定である。2年目に行う予定だった、アイスコアのデータから温度を復元するための計算手法を確立することや、1000年間のグリーンランド気温データの解析などは、前倒しで進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
・サンプルの分析を始めるのが多少遅れているがその他は順調であり、室外空気のテストを終了後、7月頃からサンプル氷の分析を開始する。・サンプル氷の分析は、開始から数カ月で終了する予定である。・データ取得が終了し次第、過去2000年のグリーンランド温度を復元し論文を執筆する。・これらの実験と並行して、すでにデータがあるグリーンランド氷床コアGISP2のデータ(Kobashi et al., 2008)をもとにした完新世全体のグリーンランドの気温復元の論文も執筆する。また、過去4000年のグリーンランド気温変動のメカニズムに関する論文、フィルンの変動を示す論文も執筆を予定している。GISPのデータ解析のために開発する温度復元手法は、NGRIPのデータにも使用する予定である。また、これらの研究結果を国内外の学会で発表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、ガス分析に必要な消耗品の購入と、12月にサンフランシスコで行われる米国地球物理連合学会と、例年9月に行われる雪氷学会に参加し研究発表することを計画している。
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