2012 Fiscal Year Research-status Report
都市内運河における市民主体型水質改善システム構築に関する研究
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23710059
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山中 亮一 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 講師 (50361879)
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Keywords | 尼崎運河 / 水質浄化 / 富栄養化 / 生態系工学 / 汽水域 / ベストミックス / 市民協働 / 物質循環 |
Research Abstract |
a)「水質改善技術の確立」に関する研究.①付着性二枚貝を用いた浄化技術開発では,優占二枚貝コウロエンカワヒバリガイによる物質循環機能を現地実験と室内実験により定量化した.この成果は土木学会論文集(海岸工学)に論文投稿した.②藻類による水質浄化技術開発では,水中型LED照明に対する藻類種ごとの光合成機能をDO法により定量化した.水温と光量子密度をパラメータとし,珪藻と緑藻を対象に計測を行なった.また,長時間連続照射時に光合成機能が低下する現象が見られたため,その回避策について検討を行った.その結果,日中での被照射光量を制限することにより,連続光障害の発生を回避できることを明らかにした.③ヨシによる浄化技術開発については,現地住民との協働でのヨシの移植を協議し,地元(庄下川)のヨシの種子の採取した.また,ヨシの植栽実験を中学生との協働で行うため,中学生とのワークショプを行い,様々な堆肥材を活用し,早期に干潟に植栽出来る方法を見出すための実験を行うこととなった.また,底質の悪化が見られたため,物質循環の評価を行い,付着性藻類を利用する生物の不足が問題であることを明らかにした.この成果は沿岸域学会講演会で発表する. b)「水質改善活動の継続性」に関する研究.尼崎運河周辺の小学校4校への環境学習を実施するともに,地元中学校との協働での海藻の取り上げ活動を行い,アンケート調査を実施した.また,水質浄化活動に3年間にわたり参画した中学生に対しヒアリング調査を行った.詳細な検討は今後行うが,ほとんどの生徒に良好な原体験があり,幼少期の経験が思春期の気付きにつながることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請の目標は,沿岸域の環境再生の課題を克服するために,市民が主体的に水質改善に関わることができる水質改善システムの構築である.研究内容は二つある.ひとつめのa)水質改善技術の確立については,さらに3つの小項目に分かれているが,二枚貝を用いた技術と海藻を用いた技術開発については,現地実験は計画通りに消化している.ヨシを用いた技術については,市民協働型としたため,最終年度に集中的に進める. ふたつめの課題であるb)水質改善活動の継続性については,ヒアリング調査,アンケート調査などサンプル数は蓄積されているが,現地での市民の主体的な活動の普及が遅れているため,研究もそれに合わせて進捗が遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
a)「水質改善技術の確立」に関する研究ついては,干潟へのマクロベントス投入による浄化能向上に関する実験と,海藻による栄養塩除去水路の性能向上の実験,ヨシ植栽の市民活動化とその効果の定量化を目標とする.また水質浄化施設の水質浄化機能のモニタリングを行い,数値モデルの精度確認を行う. b)「水質改善活動の継続性」に関する研究については,昨年同様に市民活動を本格化し,海藻の回収と堆肥化を行い,参加者へのアンケート調査等を実施し,市民による水質浄化活動により市民が得るものを明らかする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用計画として,a)「水質改善技術の確立」に関する研究では,調査のための旅費を使用する. 旅行回数は,調査は毎月1回を予定しており,すべて同行者が3名いる. b)「水質改善活動の継続性」に関する研究については,調査活動のため尼崎運河までの旅費を使用する.頻度はフタ付きに1回である. 繰越額については,平成24年度内に執行は済んでおり,平成25年4月に支払予定となっている.
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Research Products
(4 results)