2012 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子汚染リスク下の森林経営~遺伝子組み換え樹木導入意思決定メカニズムの解明
Project/Area Number |
23710060
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
木島 真志 琉球大学, 農学部, 准教授 (10466542)
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Keywords | 遺伝子組み換え / 遺伝子汚染 / 森林管理 / 空間モデル / シミュレーション |
Research Abstract |
遺伝子組み換え樹木は,木質資源の安定的確保の一手段というだけでなく,地球規模の環境問題の解決策として期待が高まっている.しかし,遺伝子組み換えの農作物と比べて,樹木は寿命が長く,種子や花粉の移動性が高いため,近隣の野生類縁種との異形交配により土地固有の個体群の持つ遺伝子構成を破壊すること(遺伝子汚染)が考えられ,遺伝子組み換え樹木が一旦繁殖能力をもつと,近隣の自然生態系に対して不可逆的な負荷を及ぼす可能性がある.そのため,遺伝子組み換え樹木の植林管理を検討する際には,遺伝子組み換え樹木の種子や花粉散布が野生の樹木あるいは“従来”の樹木に及ぼす潜在的な影響を評価することが重要である.これらの影響を踏まえて,森林土地所有者・管理者は,遺伝子組み換え樹木導入の便益と費用を評価し,遺伝子組み換え樹木の植林の意思決定を行う必要がある. 本研究では,STEVE model (DiFazio et al., 2012)をもとに,セルベースのシンプルな花粉散布シミュレーションモデルを構築した.同じ植栽密度で管理されている仮想的な5セル X 5セルの森林ランドスケープに対して,その所有者・管理者が,各セルにおける遺伝子組換え樹木と“従来の樹種”による植栽割合や遺伝子組み換え樹木の植林の空間配置を決定するという問題を考えた.そして,遺伝子組み換え樹木の植林に関する様々な管理戦略(植栽割合,空間配置)が,この仮想的な森林ランドスケープにおける遺伝子組み換え樹木の授粉確率に及ぼす影響を分析した.
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