2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23710121
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂本 雅典 京都大学, 化学研究所, 助教 (60419463)
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Keywords | 金クラスター / 有機分子‐金属界面 / 光電子移動 / ポルフィリン |
Research Abstract |
平成24度は、研究計画で提案した三種類のポルフィリン誘導体に保護されたπ接合金ナノ粒子の合成を完了し、その光学特性の調査を行った。紫外‐可視吸収スペクトル測定の結果、金クラスターに平面的に配位することによりポルフィリン誘導体の性質が劇的に変化することが明らかになった。また、フェムト秒レーザーを用いた過渡吸収測定により、ポルフィリンが金クラスターに対して垂直に配位した場合、長寿命の電荷分離状態が観察されたが、平面的に配位した場合は、ポルフィリンと金クラスター間でのエキシプレックスの形成が観察された。この事実からポルフィリン誘導体に保護された金クラスターの光化学的性質が、金クラスターに対するポルフィリンの分子配向に大きく影響されることが判明した。これら一連の研究成果は、太陽電池や単電子トランジスタなどの有機分子‐無機ナノ粒子界面を有する材料を設計する上で重要な指針となる。本研究成果に関しては複数の国際、国内学会で発表を行い、論文は国際誌に投稿を予定中である。 新しいπ接合金ナノ粒子合成の試みとして、オリゴフェニレンエチニレン骨格を有する剛直な二座配意子を合成し、それらを保護配位子としてナノ粒子の合成を行った。この結果、ナノ粒子のサイズが二座配位子の配位部位間の距離により非常に精密に制御できることを発見した。また、ポルフィリンと同様に平面的に配位したオリゴフェニレンエチニレンと金ナノ粒子の間で強い電子的相互作用が働くことが明らかになった。この結果は、ナノ粒子のサイズが配位子の構造によりコントロールできることを示しており、ナノ粒子の合成戦略において有益な情報になると考えられる。本研究成果に関しては複数の国際、国内学会で発表を行い、論文は国際的な科学雑誌であるapplied physics letters誌, およびchemical science誌に掲載された。
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