2013 Fiscal Year Annual Research Report
多階層ネットワークに基づく遺伝子間の非線形相互作用のモデル化と代謝解析への応用
Project/Area Number |
23710233
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
瀧川 一学 北海道大学, 創成研究機構, 特任助教 (10374597)
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Keywords | 分子ネットワーク / 遺伝子間相互作用 / グラフマイニング |
Research Abstract |
代謝ネットワークにおける酵素遺伝子間の非線形相互作用については初年度を中心に遺伝子発現量、代謝産物量、と代謝系ネットワークの構造の関係を定量的に解析する手法の確立から実際の分析までを行った。特に、E.coli K12MG1655株の同時計測データを用いて、各々の酵素遺伝子のネットワーク様の相互作用が、遺伝子・タンパク質(酵素)・代謝産物の調整にどのように影響するかを分析するモデル化を行い、論文として発表を行った。 本年度はこれと並行して行った研究として、遺伝子発現量について各アレイ(測定条件)と各遺伝子の両方の観点から類似している遺伝子とアレイの部分セットを列挙計算するバイクラスタリングに関する成果を論文およびウェブサービスとして発表した。結果は冗長かつ複雑な出力であるため、ネットワーク様の相互関係として視覚的な出力も行った。同時に、ネットワーク構造(グラフのトポロジー)のデータを統計的に解析する手法に関する基礎研究を行い、論文として投稿することができた。また遺伝子欠損株の測定データとネットワーク構造とを統計的に関連付ける手法については、ネットワークの信頼性分析理論に基づき、より良いモデルの検討を引き続き行っている。得られた成果は今後の研究に引継ぎ、遺伝子という構成要素がネットワーク構造を介して非線形に作用する現象を緻密に分析できるようなモデルやデータ解析手法を追及していく予定である。 ネットワーク構造が多階層で複雑に相互作用する現象は、生物現象だけにとどまらない。こうした他の様々な現象の分析にも汎用的に使えるような技術基盤の確立のためには、実データのモデル化による検証と並行して、情報科学的にも様々な技術課題の解決が必要である。本課題の実施により基礎研究面でも今後解決していくべき様々な重要な発展的研究課題を得ることができた。
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Research Products
(4 results)