2011 Fiscal Year Research-status Report
ビタミンK誘導体のDNA合成酵素分子種特異的阻害活性による新規な抗癌機能性開発
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23710262
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
栗山 磯子 神戸学院大学, 栄養学部, 研究員 (50553749)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ビタミンK / DNA合成酵素 / 酵素阻害剤 |
Research Abstract |
ビタミンK誘導体から有効な新規医薬品または抗癌機能性食品、もしくは分子プローブとして生体内におけるDNA合成酵素(pol)研究のツールの開発を目的とする。ビタミンK誘導体の化学合成、DNA合成酵素であるDNAポリメラーゼ、DNAのねじれを巻き戻す酵素であるDNAトポイソメラーゼ、これらの活性に対する阻害作用を指標として新規機能性をもつビタミンK誘導体の化学合成をすすめた。得られた誘導体を用いて抗酸化活性、ヒト癌細胞増殖および細胞周期に対する影響を調査した。1.新規機能性をもつビタミンK誘導体の化学合成: pol γを阻害するビタミンK3をリード(中心)として、K3とK2の中間体、K3の二量体など誘導体を有機化学合成した。原料となるビタミンK3は市販試薬を購入した。最も強く阻害する構造を次のリードとして化合物を有機化学合成し、その構造と阻害活性の相関を調べた。2.1で得られた誘導体を用いてのpolの活性測定:基質は合成DNAであるpoly(dA) / oligo(dT)18とRI標識ヌクレオチドである[3H]-dTTPを用いて、pol反応によって重合されたdTTPの放射活性をシンチレーションカウンターで定量した。3.1で得られた誘導体を用いてのヒト癌細胞増殖抑制試験:ヒト由来の大腸癌などの癌細胞を用いてWst-1法で調査する。4.1で得られたビタミンK誘導体を用いての癌細胞増殖抑制活性におけるメカニズム解析(アポトーシス誘導、抗酸化活性試験、細胞周期解析など)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.新規機能性をもつビタミンK誘導体の化学合成:ビタミンK3を基にビタミンK3 dimer (VK3 dimer)、Juglone、plumbagin、Biplumbagin、2, 3-Dimethyl-1, 4-naphthoquinoneの5種類を新たに合成した。2.1で得られた誘導体を用いてのpolの活性測定 (1)polの準備:哺乳類のpolは、alpha~upsilonの15種類の分子種が存在するが、遺伝子工学的手法や生化学的手法により、10種類のpol分子種の安定供給を可能にした。(2)ビタミンK誘導体のpol阻害活性:各誘導体20 μMにおけるpol阻害は、VK3、VK3 dimer、Biplumbagin、2, 3-Dimethyl-1, 4-naphthoquinoneではいずれのpolも阻害しなかった。Plumbaginは、pol etaを約20%程度の残存活性まで阻害した。Jugloneでは、調べたpol活性をいずれも60%以下まで阻害し、その中で最も強くpol etaを阻害した。3.1で得られた誘導体を用いてのヒト癌細胞増殖抑制試験:VK3、VK3 dimer、Juglone、plumbagin、Biplumbaginは50 μMでヒト大腸がん細胞(HCT116 cells)の増殖を10%程度まで抑制した。4.1で得られたビタミンK誘導体を用いての癌細胞増殖抑制活性におけるメカニズム解析 (1)細胞周期解析:ヒト大腸がん細胞を用いてPI染色によるFACS解析をおこなったところ、30 μM Jugloneは細胞周期に影響しなかった。(2)アポトーシス解析:27 μM Jugloneを24時間培養後、FITC-Annexin V染色によるFACS解析を行ったところ、5.1%アポトーシスを引き起こし、死細胞が28.4%であった。
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Strategy for Future Research Activity |
次のようなビタミンK誘導体から有効な新規医薬品、機能性食品または分子プローブとして生体内におけるDNA合成酵素研究のツールの開発を展開する。(1)ビタミンK誘導体Jugloneのpol eta阻害活性についての分子作用機序(メカニズム)解析(2)ビタミンK誘導体JugloneのUV照射等との併用効果
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度で得られたビタミンK誘導体Jugloneのさらなるメカニズム解析と併用効果の調査を実施する。(1)pol etaノックダウン細胞による確認:ビタミンK誘導体Jugloneはpol etaを強く阻害し、がん細胞増殖抑制も示した。しかし、細胞周期への影響はみられず、アポトーシスも引き起こしていなかった。この結果を裏付けるさらなる解析が必要となったため、平成23年度から次年度に使用する研究費を用意した。(2)平成23年度で得られたビタミンK誘導体Jugloneを用いて紫外線照射における併用効果の検討:ヒト癌細胞においてビタミンK誘導体と紫外線照射のタイミングの違いによる細胞増殖抑制活性への影響についてコロニーアッセイ法を用いて調べる。その後、紫外線量を複数点とっての癌細胞増殖抑制活性を調べる。さらに副作用解析という意味で正常細胞における増殖抑制活性についてWst-1法を用いて調べる。
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[Journal Article] Effects of Intermediates between Vitamins K2 and K3 on Mammalian DNA Polymerase Inhibition and Anti-Inflammatory Activity2011
Author(s)
Mizushina Y, Maeda J, Irino Y, Nishida M, Nishiumi S, Kondo Y, Nishio K, Kuramochi K, Tsubaki K, Kuriyama I, Azuma T, Yoshida H, Yoshida M.
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Journal Title
Int J Mol Sci.
Volume: 12(2)
Pages: 1115-1132
Peer Reviewed
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