2013 Fiscal Year Research-status Report
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23710290
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
蓮井 誠一郎 茨城大学, 人文学部, 教授 (00361288)
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Keywords | 不発弾 / ラオス / 沖縄県 / 茨城県 |
Research Abstract |
2013年度は計画3年目であり、成果発表に向けた現地調査と論文執筆とを行う計画でありました。しかしながら、急遽学外の公的機関の委員となり、まとまった時間が確保できませんでした。そこで、国内で短期間を積み重ねてもできる調査という形態をとりました。これまでの研究実績として、大きく下記3点があります。 1)地元茨城県での不発弾調査。、2)これまでのラオス、沖縄、茨城での調査結果およびデータのとりまとめ作業。、3)発表媒体を探しつつ、中間論文を執筆する(2014年度内には発表を計画)です。 ラオスから始めた不発弾問題の調査を、沖縄県や茨城県にまで拡大させたことは実績としてあげられます。とくに沖縄と茨城では、深刻な汚染が現在に至るも局地的に点在していることが明らかになってきました。 沖縄本島では主に地上戦が戦われた読谷村から南部にかけて。慶良間諸島でも、住民による不発弾の発見事例があります。現在でも2300トンの不発弾が残っていると考えられ、うち500トンはほとんど人目に触れずに残っていく「永久不明弾」となります。これは、不発弾リスクが一定以下には下がらないことを意味しています。茨城では、旧水戸射爆場跡地のひたち海浜公園およびその東側のひたちなか港で大量の不発弾が見つかっており、それについての聞き取り調査を継続しました。 これらの地域では、それぞれ別の問題が社会的に注目されているために、これまで学術的に不発弾問題が調査されたことはほとんどありません。2013年度は大量に得られた上記3地域のデータを整理し、論文に書き起こす準備作業を行いました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2012年度末に予想外で急遽依頼された学外の公的機関の委員として、結果として年間60日近くを拘束されました。年度末の依頼だったために、すでに確定していた時間割も大混乱となり、休講とした授業の補講も必要で、調査旅行に必要なまとまった日にちを確保できませんでした。これにより、調査先との日程調整も不調に終わりました。また脚を6月に痛めました。これらのことを総合的に勘案し、夏季の長期調査旅行を断念せざるを得ませんでした。このため、当初予定していた2013年度での「研究の結論完成を意識した調査旅行」によって得られた知見をもとにした、第二版の分析枠組みの構築が遅れていることがこの自己評価になりました。
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Strategy for Future Research Activity |
本来は2014年度に優先する計画であった論文の準備を若干前倒しで進めることができたので、2014年度は複数回の調査旅行を計画しています。ラオスだけでなく、沖縄県にも出向き、ラオスとの比較事例としての仕上げの調査を行う予定です。 2013年度は学外委員の依頼が年度末に急遽あったために、相当の混乱を来しましたが、2014年度は委員の任期は残るものの、予想されていたことのため、必要な時間割の調整も行い、混乱は最小限ですむと思われます。 また、最終年度の研究成果発表を、秋の学会で行いながら、年度内の報告書発表を行いたいと計画しています。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学外の公的機関の委員会活動のため、調査旅費および通訳などへの謝金として予定していた部分が未使用に終わったためです。 夏季に1回、春までに1回、それぞれ10日程度のラオス調査旅行を計画しています。また、沖縄への調査は数日に分けて、2~3回調査旅行を計画しています。研究成果の発表も、研究会や学会などで行い、報告書出版も含め成果の還元に努めるべく計画しています。
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