2014 Fiscal Year Research-status Report
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23710290
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
蓮井 誠一郎 茨城大学, 人文学部, 教授 (00361288)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 不発弾 / ラオス / 沖縄 / 茨城 / 水戸射爆場 / 沖縄戦 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は計画4年目であり、本来であれば完成年度として、成果発表を実現する計画でありました。しかしながら、2013年度より急遽の依頼で就任した学外の公的機関の委員としての業務が多大なものとなり、まとまった時間を確保して研究を計画通りに実施することが困難となってしまいました。このため、やむなく年度の半分の期間について、研究を中断し、期間の延長をすることとしました。 前年度の計画については、1)茨城県内での不発弾調査、2)これまでのラオス、沖縄、茨城での調査結果およびデータのとりまとめ作業、3)発表媒体を探しつつ、中間論文を執筆する、ということをあげていました。 このうち1)については、茨城県ひたちなか市において、旧水戸射爆場についての調査を開始し、おそらく最も不発弾汚染が深刻であろうサイトを選定して調査を開始することができました。主に戦後、基地返還までの間に起こった不発弾の発生に関連する出来事を整理しつつ、データを蓄積しました。 2)については、ラオスについてのこれまでの調査データを整理し、90年代の不発弾処理事業開始以後のシェンクワンにおける被害と処理の推移について、まとめることができました。沖縄については現地を訪れ、沖縄戦時に発生した不発弾の発見状況や、現在市民の手で行われている遺骨収集とともに見つかる不発弾について、その特徴から当時の状況を判断できる研究協力者を得ることができました。 3)については、執筆を開始していますが、本格的作業に入る前に研究の中断を余儀なくされたために、当初の計画よりも遅れています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学外の公的機関の委員としての業務が2013年度より増大し、定期的な出張を余儀なくされました。結果として、夏季休業や春季休業を現地調査の期間として有効に使うことができませんでした。このために、2014年度後半において、研究の中断、計画期間の延長を余儀なくされたことが理由です。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は委員としての任期も終わり、まとまった時間を確保できる見通しとなっています。これまでの研究成果のとりまとめとしての論文の執筆、報告書の作成を、当初の最終年度に計画していたとおりに進めることができるものと考えています。また、現地調査の仕上げとして、ラオス1回、沖縄1~2回、茨城を複数回調査して、今後の不発弾研究の足がかりを構築したいと考えています。 とくに国内の日立市、水戸市についての不発弾問題は、現在ではあまり問題になる機会が少ないのですが、ひたちなか市もふくめて、まとまった形での記録がありません。沖縄についても、ほぼ同様の状況で、自衛隊や県などに情報が分散して整理されていない状態です。これらをまとめた記録を作り、学問的に戦争の負の遺産として位置づけた上で、安全保障や紛争論、平和研究に貢献することを目指した次の研究計画立案を行う予定です。
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Causes of Carryover |
研究計画の中断により、物品費の一部と海外調査旅費および通訳などへの謝金として予定していた部分が未使用に終わったためです。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
夏期に1回と、可能であればさらに春までに1回程度のラオス調査をそれぞれ10日程度、1~2回程度の沖縄調査をそれぞれ7日程度、複数回の茨城県内の日帰り~1泊程度の調査を計画しています。研究成果の発表を研究会や講演会で積極的に社会に向けて行い、報告書出版、論文出版もふくめて成果の還元につとめるべく計画を推進して参ります。
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Research Products
(1 results)