2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23710290
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
蓮井 誠一郎 茨城大学, 人文学部, 教授 (00361288)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | ラオス / 不発弾 / 地雷 / クラスター爆弾 / UXO / 共生 / 気候変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度には、ラオス南部(サラワン、セコン、パクセ)への調査を行った。そこでは枯れ葉剤問題について、ラオスでは希有な証言と情報を得ることができた。また、日本企業が日本の不発弾処理NGOの支援を受けて畑を開拓した初めてのODA事例についても調査することができた。教育に成果を結びつけるべく、高校生に対しても出前授業を行い、また研究全体のまとめとして、報告書「ラオスの不発弾(UXO)問題における『共生の知』」(A4版、72頁)を作成した。 研究期間全体を通じて、ラオスでの不発弾(UXO)問題について、これまで不明だった様々な現場の問題状況、地雷とは異なる処理上の課題が明らかになった。ラオスの都市部をのぞくほぼ全域にわたるUXOの汚染分布の広さ(歴史的に意義深いロンチェンが含まれる)とそのリスクの深刻さは、クラスター爆弾禁止条約に加盟したラオスにとって、その処理活動の加速義務により、課題をより深刻なものにしていることが明らかとなった。 また気候変動によるUXOへの影響(洪水によるUXOの移動)、枯れ葉剤問題との関連(南部で証言)、沖縄の不発弾問題(一県で国内全体の40%)、茨城の不発弾問題(ひたちなか港区内の米軍射爆場跡地)、原発事故後の放射線問題との類似など国内外の問題への展開点を得ることができたのは特筆すべき点であった。 ただし、不発弾と共生しようとする住民の活動については、処理の困難さとそれによる長期化によって、それがある種の必然となっている点までは突き止められたといえるが、他方でそのような共生が様々な価値観に照らして望ましいものなのかどうかについては、十分な研究はできなかった。 今後は、本研究で発見した事実と知見から、「共生の知」についての研究によるラオスに対するフィードバックだけでなく、国内での課題への応用や貢献、また教育の改善を目指す研究への展開を模索していきたい。
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Research Products
(1 results)