2013 Fiscal Year Research-status Report
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23710317
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
佐藤 文香 一橋大学, 大学院社会学研究科, 准教授 (10367667)
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Keywords | 国際研究者交流 / アメリカ / 社会学 / ジェンダー / フェミニズム / 軍隊 / 暴力 / 自衛隊 |
Research Abstract |
2013年度は2012年度に引き続き、アメリカで収集してきた米軍の教育・訓練のジェンダー統合および性暴力対策についての資料を読みこみつつ、関連する文献の講読を続けた。文献研究の成果としてまとめた解説論文「ジェンダーの視点から見る戦争・軍隊の社会学」は、『戦争社会学の構想 ―制度・体験・メディア』(勉誠出版)に収録された。 8月27日から28日には、十文字学園女子大学で開催された国際セミナーInternational Seminar on Evaluation of National Action Plans to Implement UN Security Council Resolution 1325 and Other Related Resolutionsに出席し、国連安保理決議1325号をはじめとする女性・平和・安全保障関連の決議について理解を深めた。このセミナーでは、出席した国内外の研究者・実務家による意見交換会を経て、日本を含めまだ国内行動計画を持たない国に向けた勧告文が成果としてまとめられた。 また、3月26日から29日にかけてトロントで開催されたInternational Studies Association(ISA)の年次大会に参加し、Feminist Security Studiesのセッションに集う研究者らと各国の軍隊のジェンダー政策についての意見交換を行った。また、2011-12年度の在外研究時に出席した軍隊の女性に関する会議の資料報告「アメリカにおける軍隊の女性の今 ―軍隊の女性に関する会議に参加して」を『国際ジェンダー学会誌』に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2013年度は、ジェンダー編成をはじめとする軍事組織の変化を構成員がどのように受け止めているのかを探るべく、現役・退役の男性自衛官10名に対する聞きとり調査を実施した。また、日本と同様に米軍の影響を強く受けつつも男子徴兵制を続けている韓国を比較・参照国とするため、退役男性軍人9名に対して同様の調査を行なった。 さらに、国連安保理決議1325号国内行動計画策定を目指して活動を行なっている研究者・実務家との交流や、ISAのFeminist Security Studiesのセッションに集う研究者との意見交換を通じて、本研究課題の実践的な意義と国際的な位置付けについて考える機会を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度はアメリカ調査で得た資料を引き続き精査しながら、米軍の影響を受けながら変化してきた軍事組織のジェンダー編成の現状を、構成員がどのように受け止めているのかを中心に聞きとり調査を続ける。 なお、本研究の中間報告としてまとめた論文に加筆修正を施した上で韓国語に翻訳し、ソウル大学日本研究所の学術誌『日本批評』に掲載予定である。さらに、『ジェンダー史学会』より依頼を受けて「軍事化とジェンダー」についての解説論文を、世界思想社の教科書『新・ジェンダーで学ぶ社会学』に本研究の知見をとりいれた章「闘う」を執筆予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本務校より研究課題「日本と韓国において軍事組織構成員として生きるという経験 -世代間の継承と断絶に注目して」に対し50万円の研究支援助成を受けたため、2013年度に実施した日韓調査のための国内・海外旅費と謝金の一部をこれで充当することができた。 2014年度は自衛官および韓国軍人への聞きとり調査のための国内・海外旅費を中心に研究費を使用する。
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