2011 Fiscal Year Research-status Report
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23720100
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
兼岡 理恵 千葉大学, 文学部, 准教授 (70453735)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 風土記 / 受容史 |
Research Abstract |
本年度は近世における風土記受容に関する資料収集・現地踏査を中心に行った。まず5月に、豊後(大分県)において唐橋世済関連資料収集・現地踏査を行った。具体的には、大分県立先哲史料館、大分県立図書館、竹田市図書館における資料調査・収集である。また8月には、駒澤大学図書館所蔵『松島風土記』調査のため、宮城県図書館における資料調査、松島への現地踏査を行い、その成果を「駒澤大学図書館所蔵『松島風土記』」(『人文研究』41号 2012・3)として発表した。当該文献は、安永年間に仙台藩領内の各村で作成された「風土記御用書出」をもとにして、寛政頃作成された写本の転写本と推定される。宮城郡松島村の「風土記御用書出」は現在のところ確認されておらず、当該文献の紹介は学界はもとより、東日本大震災によって被害を受けた松島の、文化的支援として価値あるものである。 9月には本居宣長の風土記、および土地に対する認識を考察、「宣長と神話世界の「トポス」」として「宣長十講」にて講演を行った(2011年9月17日、於:松阪市松阪公民館)。同月、風土記研究会にて日向(宮崎県)における風土記遺称地の現地踏査を行った。 2012年1月には、樋口宗武研究会を開催(於:大阪)、契沖忌における契沖関連の資料調査、契沖、宗武関連地の現地踏査を行った。同時に奈良・天理図書館所蔵の宗武関連資料調査を行った。これらの調査によって、従来ほとんど知られていない樋口宗武の学問の在り方、今井似閑をはじめとする宗武周辺の人的ネットワーク、知的交流の具体相が明らかになることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画時、当該年に資料調査を予定していた下総・常陸地方の古文書調査が、東日本大震災の影響によって困難になったため、24年度に計画していた豊後(大分県)における『豊後国風土記』、唐橋世済関連の資料調査を前倒しして行った。 また、本居宣長記念館の資料調査、大阪における契沖関連の現地調査、樋口宗武関連の研究会開催により、研究の方向性が見いだせたことが大きな成果である。 なお、研究の基礎的資料とする五風土記系統リストの作成、「風土記注釈集成」「風土記引用集成」「風土記言説集成」の作成は対象とすべき文献が膨大であるため、次年度以降、継続的に行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度に実施できなかった下総・常陸方面における風土記関連の資料収集・実施踏査を行う。一方、契沖・宗武・今井似閑関連資料収集も継続して行う。また、丹後・播磨方面を中心に、風土記逸文関連の遺称地の実地踏査・資料収集を行う。 また各国学者の著作を中心とした「風土記注釈集成」「風土記引用集成」「風土記言説集成」の作成を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度に実施できなかった下総・常陸方面における資料収集・実施踏査のための旅費、風土記関連地における資料収集・実地踏査の旅費、研究成果発表のための旅費・投稿料、資料・情報提供に関する謝金、資料複写・撮影費、関連図書購入のための物品費、収集データ整理のための記録メデイア、PCソフト、論文作成時に使用するプリンターインク、論文抜刷費などの使用を計画している。
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Research Products
(3 results)