2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23720125
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
水谷 隆之 佛教大学, 文学部, 講師 (60454500)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 近世文学 / 浮世草子 / 俳諧 / 井原西鶴 / 北条団水 / 遊女評判記 |
Research Abstract |
本研究は、浮世草子、俳諧、遊女評判記など当時の文芸諸ジャンルにわたる調査・分析を行い、井原西鶴とその第一の門人である北条団水について、両者の関係性を明確にし、双方の作品を新たに捉え直すことを目的とするものである。その初年度にあたる今年度は、以下の研究を行った。1,研究報告者がこれまでに実施してきた元禄期における西鶴および団水の俳諧諸作品に関する調査・分析を引き続き行い、その研究成果の一部を「『団袋』所収西鶴・団水両吟半歌仙注釈稿(二)」としてまとめ、学術誌に掲載した。2,俳諧に関してこれまでに得られた研究成果に基づき、西鶴作浮世草子の創作方法についての分析を行った。うち、『西鶴諸国はなし』巻四の七「鯉のちらし紋」に関する分析を論文にまとめた(『鳥獣虫魚の文学史 魚の巻』に収録、三弥井書店、2012年7月刊行予定)。本稿は、俳諧の連想語を軸に話を展開することにより複数の典拠を違和感なく配合し、その落差を楽しむ、西鶴浮世草子の特徴のひとつを具体的に示したものである。3,京都島原に関する遊女評判記の調査(主に寛文~元禄期)を開始し、国立国会図書館、天理図書館をはじめとする諸機関において資料調査を行った。次年度はこの調査を本格化し、その結果を好色物浮世草子の内容分析にも活かす予定である。 なお、今年度の一連の研究によって得られた知見をもとに、旧稿に加筆・修正をほどこし、『西鶴と団水の研究』と題した著書を執筆した。本書は次年度に公刊する予定である。以上の他、北条団水の研究史を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
西鶴と団水の浮世草子と俳諧に関する分析に相当の時間を要したため、島原遊女評判記の調査が当初の予定に比べ遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
浮世草子・俳諧に関する調査・分析を急ぐ。また、次年度は遊女評判記の調査を本格化する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
浮世草子・俳諧・遊女評判記など複数のジャンルにわたる研究図書、当該研究の遂行のために必要な江戸期和本の購入、論文執筆に係る諸経費ならびに国内外の所蔵機関における調査・資料収集に係る旅費として、研究費を使用する。 なお、今年度は遊女評判記の調査に係る旅費として相当額を見込んでいたが、他の研究項目の遂行に時間がかかり、十分に果たせなかった。今年度の残額は、次年度の研究費とあわせ、資料調査のための費用として主に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)