2011 Fiscal Year Research-status Report
アメリカ黒人女性文学における「母性」の表象と政治的戦略
Project/Area Number |
23720153
|
Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
戸田 由紀子 椙山女学園大学, 国際コミュニケーション学部, 准教授 (40367636)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 黒人女性文学 / 「母性」 / ハーレム・ルネサンス |
Research Abstract |
本研究の目的は、20世紀初頭の黒人女性文学における「母性」の表象に着目し、その前後の時代の黒人女性文学における「母性」の表象と比較分析することによって、アメリカ黒人女性文学における「母性」の戦略の在り方を、歴史的変遷を通して明確にすることである。23年度は、19世紀から20世紀初頭にかけて、黒人女性が書いた小説、短編、新聞記事のなかで、「母性」がどのように捉えられていたかを、19世紀末の黒人女性作家および活動家であるフランシス・ハーパーの小説『アイオラ・ルロイ』および「enlightened motherhood」について書いた記事や、The CrisisおよびThe Colored American Magazineに掲載されたポーラ・ホプキンズやジェシー・フォーセットを始めとした黒人女性が書いた短編を中心に考察した。また、20世紀初頭ハーレム・ルネサンス期は、男性主流の文芸運動であったことは周知のことであるが、そのなかで、当時の黒人リーダーたちが、どのような黒人のジェンダー・モデルを主張しようとしていたかを、アラン・ロックのThe New Negroやデュボイスの刊行した雑誌The Crisisなどを通して分析した。それを踏まえたうえで、ハーレム・ルネサンス期に活躍した黒人女性作家の短編および小説における黒人像の表象についての考察を行った。今年度は、ドロシー・ウェストの短編、小説(The Living Is Easy とThe Wedding)、エッセイを中心にとりあげ、分析および考察を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ドロシー・ウェストの作品考察および資料収集に思った以上に時間がかかったため、同時期の他の黒人女性作家の作品考察まですることはできなかったが、次年度に行う予定をしていた、ハーレム・ルネサンス期以前、20世紀初頭に黒人女性が書いた短編ため、おおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度は、23年度の研究成果を炉研究論文としてまとめると同時に、ハーレム・ルネサンス期に活躍した、ドロシー・ウェスト以外の他の黒人女性作家の作品分析・考察を行う。具体的には、ネラ・ラーセン、ゾラ・ニール・ハーストン、ジェシー・フォーセットの詩短編および小説を取り上げ、「母性」を切り口に具体的に精査したい。また、「母性」の言説が大量に生産された19世紀と20世紀後半の黒人女性文学における「母性」の表象との比較分析を行う予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費では、19世紀から20世紀の黒人女性文学、黒人史、女性文学関連の文献購入費やオンライン・ライブラリーやデータベースの登録料/使用料として使用する。データ保存用のハードディスク等の購入のためにも利用する。旅費は、アフリカ系アメリカ人の歴史と文化の研究センターであるショーンバーグにて資料収集するためのニューヨークへの旅費および滞在費に利用する。学会での研究成果発表のための旅費にも使用する。
|
Research Products
(2 results)