2013 Fiscal Year Annual Research Report
第二次世界大戦をめぐる倫理的問題と理想主義の諸形態―アンドレ・ブルトンを中心に
Project/Area Number |
23720177
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
有馬 麻理亜 近畿大学, 経済学部, 講師 (90594359)
|
Keywords | 理想主義 / アンドレ・ブルトン / トリスタン・ツァラ / ジョルジュ・バタイユ |
Research Abstract |
本年度の成果の一つは、"Les retrouvailles necessaires d'Andre Breton et de Tristan Tzara : Reflet et Interpretation des idees autour des annees 30 (アンドレ・ブルトンとトリスタン・ツァラの必然的再会:30年代における思想の相互作用と解釈)"という題の論文を公刊したことである(『フランス語フランス文学研究』、査読有、103号、日本フランス語フランス文学会、2013年、pp97-114。なお文字化けをさけるため、アクセント記号を省略した)。この論文では、一般的に対立関係が論じられることの多い、ダダとシュルレアリスムという二つの前衛運動の提唱者が1930年代短い期間ではあるが共に活動した事実に着目し、彼らの最接近の歴史・思想的背景と互いに与えた影響を論じた。そして両者に通じる革命を求める理想主義が、彼らの接近と二度目の断絶へと導いた主な要因の一つであることを文献の分析により明らかにした。 なお、以前から準備していた両大戦期間におけるブルトンとバタイユによるマルクス=フロイト主義の受容に関する論文(「共鳴とすれ違い-「コントル=アタック」前後のブルトン、バタイユそしてライヒ-」)の執筆を既に終えた。こちらは刊行を待っている状態である。さらにブルトンとオカルティスム、フーリエ主義といった戦後のシュルレアリスムの問題体系と本研究課題のテーマである「理想主義の形態」と関連させた論文を現在している。 これらの成果は、いずれも交付申請書に記載した、平成25年度の研究計画と目標(30-40年代におけるブルトン思想と、彼と関わった作家との関係についての分析)に沿ったものである。
|
Research Products
(1 results)