2012 Fiscal Year Research-status Report
イントネーションの音韻論と音声学を峻別する実験手法の確立
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23720207
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
五十嵐 陽介 広島大学, 文学研究科, 准教授 (00549008)
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Keywords | イントネーション / アクセント / 韻律 / 音声学 / 実験音韻論 |
Research Abstract |
イントネーションを構成する二大要素である句末境界音調(BPM)の分析を、日本語の大規模音声のデータベースである『日本語話し言葉コーパス』を用いて分析した。BPMに対するピッチアクセントの効果を明らかにすることができた。日本語のピッチアクセントは、後続するアクセント句(accentual phrase)のピッチレンジ(pitch range)を縮小させるダウンステップという効果を持つことが知られていたが、BPMにダウンステップが生じるかどうかは不明であった。この研究ではBPMにもダウンステップが生じること、ダウンステップの表れはBPMの種類に従って異なることが明らかにされた。あるBPMではピッチレンジの上限と下限の双方が低下するが、別のBPMでは主としてピッチレンジの上限のみが低下する。この研究成果は音声系の国際学会であるInterspeechで発表した。 また、語アクセントと文イントネーションの中間的な振る舞いを示す琉球語池間方言のアクセント体系に関してさらなる分析を行った。分析結果は国内の研究会と国際ワークショップで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本語のBPMのピッチレンジの振る舞いを明らかにすることができた点などから研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
イントネーションによるフレージングの音声学と音韻論を区別するために、方言音声もふくめて分析する予定である。またこれまでは産出された音声の分析を行ってきたが、今後は知覚実験も行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
図書の購入費、録音機材・録音媒体の購入費などの物品費として18万円を使用する予定。 国内外の学会へ参加するため、調査を行うため、音声学者との議論を行うための旅費として55万円を使用する予定。 実験協力者への謝金として5万円を使用する予定。 印刷費などその他の費用として2万円を使用する予定。
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