2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23720235
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Research Institution | The International University of Kagoshima |
Principal Investigator |
松尾 弘徳 鹿児島国際大学, 国際文化学部, 講師 (40423579)
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Keywords | 新方言 / とりたて詞 / 日本語文法史 / 福岡方言 / 鹿児島方言 |
Research Abstract |
今年度の研究成果は、下記の論考二点である。 ①「福岡方言のとりたて詞『ヤラ』『ゲナ』の成立をめぐって」『文献探究』;第51号;pp.52-63 ②「鹿児島県内方言調査から見えてくること―フィールドワーク教育としての方言調査の意義―」,『鹿児島国際大学国際文化学部論集』;第14巻4号;pp.303-315 ①論考では、福岡方言にみられるとりたて詞ヤラとゲナの意味用法の相違が、それぞれの成立過程と関係していることを明らかにした。ヤラ、ゲナともに、もと文末形式であったものが文中で用いられるとりたて詞となったという点においては共通の文法変化といってよい。ただし、ヤラは並列用法からの派生、ゲナは引用用法からの派生と考えられ、その成立過程の相違が、ヤラは「擬似的例示」、いっぽうゲナは「否定的特立」という、とりたて方に関する意味用法の相違を生んだものと考えられる。 ②論考では、申請者が3年間にわたって所属大学のゼミナールでおこなってきた鹿児島県における方言調査の概略を紹介した。とくにフィールドワーク教育という観点からみたときに方言調査がどのような意義を持つのかという、教育面と研究面とのつながりを述べたものである。なお、論考中では若年層への聞き取り調査から得られたデータに着目することで鹿児島の伝統的方言がどのように変容しつつあるかを述べており、このような点において研究課題との関連性を有する。 上記二論考の目的は、いずれも本研究の中心課題である「新方言」の確認にある。若い世代に特徴的な新方言を明らかにするためには世代間の比較が必要不可欠である。また、新方言の実態を探るためには、世代間の相違のみならず地域間の相違も考慮しなければならない。このような視点からの研究をおこなうことで福岡県および鹿児島県内における言語変化の様相が明らかにでき、ひいては本邦の日本語学界の方言研究に寄与できたものと考える。
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Research Products
(2 results)