2013 Fiscal Year Annual Research Report
英語の高頻度POSグラムおよびフレーズフレーム表現における韻律パターン認識の分析
Project/Area Number |
23720282
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村尾 玲美 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 准教授 (80454122)
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Keywords | 音声言語認識 / 高頻度品詞連鎖 / 韻律 |
Research Abstract |
平成25年度は、前年度に実験項目の作り直しと録音の取り直しによって新たに作成した音声言語認識テストを用いて再度実験を行った。本研究は、日本人英語学習者が句を形成する品詞連鎖を韻律的なパターンとして処理することができるかどうかを明らかにすることを目的としている。 英語母語話者8名、上級英語学習者10名、初級英語学習者14名を対象に、品詞連鎖を高頻度と低頻度の条件に分けて韻律パターンマッチング課題を行ったところ、上級英語学習者と初級英語学習者の間には品詞連鎖条件に関わらず正解率に差が見られなかった。一方、英語母語話者との間には正解率に有意な差が見られたのみならず、品詞連鎖条件による違いが見られた。具体的には、母語話者は母語話者コーパスにおいてのみ高頻度であった品詞連鎖を最もよく認識したのに対し、学習者は学習者コーパスにおいてのみ高頻度であった品詞連鎖を最もよく認識した。しかしながら、母語話者コーパスと学習者コーパスの両方において共通して高頻度であった項目については、母語話者・学習者ともに認識率が低かった。このことから、高頻度連鎖は音韻的に競合する候補の数も増えるため認知が難しくなる可能性と、言語の連鎖が暗黙的に心的辞書に保持されるには高頻度であるだけではなく、音韻的に顕著である必要がある可能性が示唆された。以上の結果から、①品詞連鎖を韻律パターンとして処理できるかどうかは言語習得において重要な要素ではないこと、②TOEICで測られるリスニング力とリーディング力に影響する要素ではないこと、③母語話者との処理の仕方に違いがあること、が明らかとなった。
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