2011 Fiscal Year Research-status Report
次世代向け韓国語電子教科書の開発とその有効性の検証による韓国語教育環境の確立
Project/Area Number |
23720289
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
金 義鎭 東北学院大学, 工学部, 准教授 (30364285)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 電子教科書 / マルチメディアコンテンツ |
Research Abstract |
平成23年度に計画した研究は、東日本大震災の影響で学内施設や研究基盤の正常化が約1か月程度遅れてスタートしたが、幸い当初の研究計画には大きな影響は生じなかった。平成23年度の研究実績(査読付き論文3本、研究会発表1本、講演1回)の概要を時系列に以下に示す。1.Android OSとタブレットPCを基盤とする電子教科書を試作し、その内容を情報科学技術フォーラム(9月、函館)FITで発表(タイトル:タブレットPCによる次世代向け韓国語電子教材の開発)を行った。2.「IT技術と外国語教育」というテーマで、従来でのe-ラーニングの問題点が改善できる一つの方法を提案した。なお、今後の電子教科書のあり方や活用および展望について、コンピュータ利用教育学会外国語教育研究部会(10月、東京)で講演を行った。3.電子教科書の特徴の一つである手書き文字認識の基礎技術に関する論文が、電子情報通信学会論文誌(タイトル:ディジタル円上の特定16か所におけるローカル極)に掲載された。4.タブレットPCだけではなく、よりモバイル学習が期待できるAndroidの携帯電話で動作するハングル能力検定対策用の学習アプリを開発し、その内容がコンピュータ利用教育学会春季研究会(3月、東京)の論文誌(タイトル:ハングル能力検定試験(5級)の学習アプリの開発―Androidスマートフォンを用いて―)に掲載された。5.異なる韓国語習熟度の被験者を対象に、手書き学習に関するアンケート調査を行い、その有効的な活用について分析を行った。この内容に関する論文がコンピュータ& エデュケーション会誌に(タイトル:韓国語学習における手書き電子教材の効果的な活用に関する考察-異なる学習背景を持つ大学生学習者に対するアンケート評価より- )掲載される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に計画した研究目標は、1.新しい指導・学習モデルの考案と2.初級者向け電子教科書の作製であった。研究目標1.については、韓国語を専門とする協力研究者(東北学院大教養学部の金ヘジン先生)が執筆し、実際の講義でも使用されているテキスト(基礎韓国語)を基づく学習モデルに従った。その学習モデルに電子教科書の特徴を活かせるため、次のマルチメディア機能を新たに加えた。(1) 音声機能の強化:電子教科書には本文、会話、単語などの音声を講義中でも聞くことができる。特に、電子教科書には自分の肉声も録音できる機能も装着されているので、自らの発音練習も簡単にできる。また、教員がこの機能を活かし、従来ではできなかった発音練習のレポートも出される。つまり、学生は自分が練習して録音したデータを教員に聞かせることで、教員はそのデータを確認することで、学生の発音練習をしたかが判断できる。(2) 手書き機能の強化:タブレットPCは指のタッチで操作ができる。この機能を用いて、教科書の練習問題を手書きで行う。つまり、従来の紙ベースのテキストで駆使できなかったマルチメディアの機能を積極的な追加を図った。研究目標2.については、最新のOS(iOS5, Android OS, Windows 7など)の今後の発展も開発視野に入れて、開発環境OSの検討を行った。その結果、我々は将来的にはスマートフォンでの学習利用も想定でき、より汎用性が大きくなると考えられるAndroid OSを主な開発環境として採用した。また、現在の電子教科書の適用機器としては、7~10インチのタブレット端末PCを利用した。一方、教科書内容に関連するマルチメディアの素材に関しては、まだその種類や数が少なく、平成24年度にそのコンテンツの拡充に努めるつもりである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、大きく次の二つの研究目標(初級者向け電子教科書の評価と中・上級者向け電子教科書の作成と評価)を推進するつもりである。1.初級者向け電子教科書の評価:作製した初級者用電子教科書の評価は以下の2つの項目に重点をおき、次の項目を明らかにするために、アンケート調査を行う予定である。(1)教育効果について電子教科書と従来教材との比較を行い、得られた結果を分析する。(2)(新)電子教科書が(紙)教科書、e-ラーニングに比べて、どの程度の教育効果があったかを様々な角度から調査・分析し、その結果を中・上級者用電子教科書に反映させる。2.中・上級者向け電子教科書の作成と評価:韓国語を含む第2外国語の場合、中・上級用の電子教材はほとんど開発されていない。そのためにも、韓国語指導教員らからの綿密な協力が大いに必要であり、次のような研究推進を計画している。(1)中級者用の電子教科書は、中級者の学習レベルはハングル検定の準2級~3級程度であり、基本的な学習内容は東北学院大学の韓国語専任教員キムヘジン准教授の著書を用いる。また、中級者用電子教科書にはgoogleが開発したフリーの自動翻訳アプリケーションを組み込み、作文、会話などの実践的な学習項目を強化する。(2)上級者用電子教科書はハングル検定1級と2級合格に向けての参考書として作成を行う。1級と2級との合格率は平均10%未満程度で、非常な難関であるにもかかわらず、対策参考書はだった1冊のみである。本研究でその対策書(電子版)を開発することにより社会貢献する。(3)中・上級者向け電子教科書の評価は初級者用の評価方法と同様の項目で行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費の使用計画を以下に示す。 1.設備費:端末機器の購入が多くの支出を計画している。端末機器の詳細としてはタブレットPCが5台、モバイル用ハンディ端末機器が20台であり、60万円程度を見積もっている。 2.出張:電子教科書のマルチメディアコンテンツを収集するために、韓国に2回ほど出張を計画している。オリジナルの動画や静止画を確保するつもりである。また、研究成果発表(学会発表や論文投稿料)も計画している。これらの予算は40万円程度を見積もっている。 3.アンケート調査や整理に関する人件費として約10万円程度を見積もっている。 4.通信料、研究打ち合わせ、消耗品などとして約10万円程度を見積もっている。
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Research Products
(5 results)