2012 Fiscal Year Research-status Report
次世代向け韓国語電子教科書の開発とその有効性の検証による韓国語教育環境の確立
Project/Area Number |
23720289
|
Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
金 義鎭 東北学院大学, 工学部, 教授 (30364285)
|
Keywords | 電子教科書 / モバイルラニング |
Research Abstract |
平成24年度の研究成果は研究会発表5回と査読付き論文2本で、その内容を以下に説明する。 1.研究会発表:正規の韓国語授業中で、開発したタブレット用の韓国語電子教科書を実践的に利活用(4月~8月)する実験を行った。実験に参加した学生を対象に、アンケート調査を行い、その結果を統計的手法で分析し、開発したタブレット用の韓国語電子教科書による教育的効果を検証した。これらは ①韓国語の検定試験対策用のモバイル学習教材の開発とその評価分析(教育システム情報学会第5回研究会)、② 韓国語学習におけるモバイル端末用の電子教科書の実践活用とその評価分析(情報処理学会コンピュータと教育研究会)、③韓国語教育におけるタブレット端末用の教材開発とその評価について(教育システム情報学会全国大会ワークショップ2)のタイトルで発表された。また、ネットワーク環境と学習管理サーバが不要である、学習システムを試作し、その動作を確認した。これらは④モバイル世代向けの実践的韓国語学習支援システムの構築(映像情報メディア学会次年大会)、⑤5AndroidとBluetoothを用いた韓国語学習支援システムの提案(教育システム情報学会第5回研究会)のタイトルで発表された。 2.査読付き論文:多様な学習者に対して、手書きに重点を置いた韓国語教材の評価を行い、その結果を統計的手法で分析的に考察を行った(韓国語学習における手書き電子教材の効果的な活用に関する考察-異なる学習背景を持つ大学生学習者に対するアンケート評価より-、コンピュータ & エデュケーション)。また、次世代向けのタブレットの教育的な有効性を明らかにするために、実際の講義中で実践活用を行い、その結果を統計的手法で分析を行った(タブレットPCを用いた基礎韓国語の電子教科書の実践活用に関する考察、コンピュータ & エデュケーション)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に計画した研究目標は、初級者向け電子教科書の評価と中・上級者向け電子教科書の試作であった。 初級者向け電子教科書の評価の方法は、正規の韓国語講義の受講者にタブレット端末を貸し出して(2012年4月から10月まで)、電子教科書による実践活用を行った。その後、受講者からアンケート調査(電子教科書と従来教材との比較など)を行い、得られた結果を統計的手法で分析を行った。その結果、初級者向け電子教科書は初めて韓国語を学ぶ学生に、発音や手書きなどに効果的であったことが明らかになった。また、授業外の学習時間でも利活用できたことも確認した。従って、受講者は初級者向け電子教科書の利活用に十分に満足したといえる。これらの研究成果は3回の研究会発表と2本の論文としてまとめた。 一方、初級者向け電子教科書の評価から課題もみられた。電子教科書の内容は従来の教科書内容に基づいて制作されたので、付加学習(模擬試験、学習記録)をマネジメントする機能はなかった。その機能を実現するために、モバイル端末に基本装着しているBluetooth通信を用いて自律分散型無線ネットワークを試みた。この試みはネットワーク環境と学習管理サーバがない通常の講義室でも学習マネジメントできることを目指した。試作した中・上級向け電子教科書にもこの機能を組み込んだ。試作はハングル能力検定試験の対策用で、4,5級を対象に簡単な評価も実施した。これらの研究成果は2回の研究会発表としてまとめた。また、中級用電子教科書には、多様なマルチメディアコンテンツを学習内容に応じて配置した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、大きく次の二つの研究目標(モバイル端末を用いた自律分散型無線ネットワークの構築と中・上級者向け電子教科書の作成および評価)を推進する予定である。 1.モバイル端末を用いた自律分散型無線ネットワークの構築は、韓国語を学ぶ学生が対面授業中はもちろん授業外学修時でも自律した態度で学習に取り組むことができるよう実践的韓国語モバイルラーニングを開発する。具体的な計画として、①モバイル端末の無線センサーを用いた自立分散型無線ネットワーク構築の確立、②通信インフラと管理サーバが不要で韓国語モバイル学習のマネジメントシステムの開発、③韓国語の正規授業中で開発したモバイルラーニングの実践活用を行い、その有効性を確かめる。 2.中・上級者向け電子教科書の作成および評価:平成24年度の試作を基に、①中級者用の電子教科書は、中級者の学習レベルはハングル検定の準2級~4級程度であり、基本的な学習内容は東北学院大学の韓国語専任教員キムヘジン准教授の著書を用いる。また、中級者用電子教科書には音声翻訳サービス、文書翻訳サービスのアプリケーションを組み込み、作文、会話などの実践的な学習項目を強化する。②上級者用電子教科書はハングル検定1級と2級合格に向けての参考書として作成を行う。本研究でその対策書(電子版)を開発することにより社会貢献する。③中・上級者向け電子教科書の評価は初級者用の評価方法と同様の項目で行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究費の使用計画を以下に示す。 1.これまでの研究成果を国際会議と国内学会での発表を予定しているので、旅費として約50万円を使用する予定である。 2.これまで収集したマルチメディアコンテンツの素材を電子教科書用に使用するために、動・静止画や音声が加工できるソフトウェアを購入する予定である(約10万円)。 3.アンケート調査や整理を手伝う人に支払う人件費として、10万円程度を見積もっている。 4.通信料として、10万円程度を見積もっている。
|
Research Products
(7 results)