2011 Fiscal Year Research-status Report
日本人英語学習者の意味統合における処理の深さ:照応理解に基づく研究
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23720293
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
土方 裕子 東京理科大学, 経営学部, 講師 (10548390)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 英語教育 / 読解 / 照応 |
Research Abstract |
研究代表者は,大学院生時代から,日本人英語学習者の読解における意味統合プロセスを研究対象としてきた。本研究では,日本語と英語の違いが顕著に見られる「照応表現」に焦点を当て,日本人英語学習者の意味処理の深さのメカニズムを探ることを目的としている。研究初年度である本年度は,日本人英語学習者の照応処理プロセスを複数の観点から調べるために,発話プロトコル法,および処理時間測定の2つの手法を用いて研究を遂行した。 第一に,日本人英語学習者に英語論文を読ませ,論文中の照応表現をどの程度深く理解するのかについて,発話プロトコルを中心に,ビデオによる観察,受験者が使用した論文の書き込みおよびメモを取るためのノート,そして読解後のインタビューからデータ収集を行った。英語熟達度の高い読み手と熟達度の低い読み手の読解ストラテジーを分類し,アカデミック・リーディング指導における示唆を検討した。この実験結果の一部は,アメリカ応用言語学会において口頭発表し,これから論文を執筆する段階である。 第二に,照応表現の it を含み,語用論の観点を入れて3条件に分類した実験文36文を日本人英語学習者に呈示し,処理時間を測定した。代名詞 it は全て前方照応の主格で統一した。受験者は SuperLab 4.02 を用いて一文ずつ呈示された英文を読み,意味的に適切な文であるか否かをできるだけ速く判定した。また,日本人英語学習者と英語母語話者の処理過程を比較するため,イギリスの大学生からも実験データを収集した。この実験の結果は現在分析中であり,来年度の学会で発表する予定である。 来年度は,特に日本語と英語の違いが顕著となる「ゼロ照合」や動詞特性を念頭に実験文を作成し,心理言語学実験を積み重ねていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画からは少し路線変更をした部分があるが、1年間のうちにデータを収集し学会発表を行った点で、許容範囲と考えられる。来年度は論文の執筆までこぎつけたい。
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Strategy for Future Research Activity |
量的な実験を複数行う予定であったが、質的な研究と量的な研究の組み合わせに変更した。その結果、23年度はすでに所有している実験機器で遂行が可能な実験のみを実施し、新たな実験機器の購入が不要となったため。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、当初の計画通り、心理言語学実験を複数行っていく予定である。そのため、統計処理ソフトの新しいバージョンの購入や、国際学会での発表に係る旅費、調査関連の謝礼に研究費を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)