2013 Fiscal Year Annual Research Report
日本人英語学習者の意味統合における処理の深さ:照応理解に基づく研究
Project/Area Number |
23720293
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
土方 裕子 東京理科大学, 経営学部, 講師 (10548390)
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Keywords | 英語教育 / 読解 / 照応理解 / 意味処理 |
Research Abstract |
文章を理解するためには,文章内の指示表現が指すものを特定する必要がある。例えば While Bill watched the match, he drank a beer という文において he は指示詞で,先行詞は Bill である。このような指示表現の処理(照応処理)は文章理解に不可欠であるが,第二言語 (L2) における照応理解についての研究はあまり行われていない。そこで本研究では,「日本人英語学習者の照応処理を対象とした意味処理の深さに関する研究」「日本人英語学習者にとって処理が困難な言語特性(動詞の特性)に重点を置いた照応処理研究」「照応処理を通して応用言語学と心理言語学を融合した学際的研究」の三点を研究の特色とし,日本人英語学習者の読解中における意味処理の深さと照応理解,動詞特性の関係を調べた。 実験1では,「照応(固有名詞・代名詞)」および動詞の種類を二要因とし,約10語で構成される実験文を40文,および統制用のフィラー文20文を用意した。日本人大学生の英語学習者27名がパソコン上でこれらの文を読み,その読解時間および内容理解問題への解答時間をパソコン上で記録した。実験2は,日本人大学生の英語学習者60名(上位群29名,下位群31名)が呈示された動詞を使って文を産出する課題であった。この文産出課題の結果、実験1で使用した他動詞の中でも tire, surprise のように人の感情に働きかける動詞は call や trouble のような語と比べて照応理解が困難であること,特に下位群では能動態での動詞の使い方に難があることが示された。そこで実験3は,実験2で得られた結果を考慮し,実験文を能動態と受動態に分け,実験1と基本的には同じ手法で実験文の処理時間を測定した。また,読解後の内容理解問題には,照応理解に深い意味処理を要求する問題を設定した。
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