2014 Fiscal Year Annual Research Report
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23720317
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
横山 陽子 千葉大学, 人文社会科学研究科, 人文社会科学研究科特別研究員 (90586504)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 日本近世史 / 奥羽 / 被差別民 / イタカ / 西宮社人 / 地方知識人 / 被差別民認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は下記3点についての作業を行った。 (1)福島県大沼郡会津美里町田中文庫所蔵の未整理書簡類の目録刊行:大屋士由と会津・仙道地域の知識人たちの交流関係を明らかにするため、これまで未整理であった、士由と親交が深い田中東昌(別号、月歩)とその息子である重好宛書簡等の目録作成を行ってきた。2014年度は、目録データの再点検と原本校正を行い、『福島県大沼郡会津美里町田中文庫文書目録―田中東昌・重好宛大屋士由書簡等を中心に―』としてまとめた。東昌・重好宛の書簡は士由をはじめとする会津、二本松、三春、白石、江戸、越後、遠江等にいる俳人、文人、武士等からのもので、その内容は俳諧・兵学・医薬・物産・石印彫刻等に関すること、贈答品への御礼、近況報告等であった。また重好宛東昌書簡、東昌・重好宛以外の書簡も確認した。書簡以外では発句や和歌、漢詩の書付、摺物、書画、金子受領書、質地証文等も確認した。 (2)田中東昌・重好宛大屋士由書簡類の解読:田中文庫所蔵の田中東昌・重好宛大屋士由書簡類の解読を引き続き行った。東昌・重好宛士由書簡は、主として士由が会津領滞在中のものと、二本松領滞在中のものと推定した。会津領滞在中の書簡からは、士由が東昌・重好をはじめとする会津俳諧・文化的ネットワークに入り込んだことが推測でき、また二本松滞在中の書簡からは、士由の門人や懇意の人々が増え、士由の交流関係が広がっていること等を確認した。書簡には士由の著作に関する記載もあったが、「伊多加考」に関する直接的な情報は何故か確認できなかった。 (3)兵庫県西宮市西宮神社所蔵文書の調査・撮影:「伊多加考」に記載されている享保・元文期の吉田家神職・西宮社人の争論等についての関連史料の蒐集を行い、西宮神社所蔵文書の原本確認と撮影を行った。
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